第33号コラム:小林 宏之 幹事(株式会社NTTデータ e-コミュニティ推進事業部 部長)
題:「CIO(最高情報責任者)の役割とデジタル・フォレンジック」
従来のIT部門の課題は、ITシステムの構築と安定的な運用に重点が置かれ、ITを管理することが大きな目的でしたが、会社の経営そのものをITで管理する段階に移っています。これからは、ITそのものが目的ではなく、手段だと明確に認識する必要があると考えます。
そこで働く人材についても、コンピュータのことだけを詳しく知っているだけではだめで、業務や経営、社会の仕組みそのものへの造詣も深いこと、コンピュータを活用して社会のために何をつくれば喜ばれるのかを考えることが、求められるようになってきています。
このような状況の中、官公庁、自治体、企業においては、ITガバナンス強化のため、CIO、CIO補佐官を任命、採用しています。
CIOは、組織において、情報システムの統括を行い、IT戦略の立案と推進に責任を持つリーダーです。
あるCIOから話を聞き、業務の実態をみてみると、経営人に対する技術専門的な内容の説明、教育を行うとともにユーザーとITを統治する組織との接着剤の役割をはたしており、最近では、情報漏えい対策やSOX法対応もCIOやCIO補佐官が、中心になって実施しているとのことです。
12/15、12/16にグランドヒル市ヶ谷において、第5回デジタル・フォレンジック・コミュニティ2008が開催され、ITリスクに備え、信頼社会を支える技術基盤について、講演、情報交換が実施されました。
フォーラムに参加してみて、正確な情報の開示を求められている、経営者やCIOの業務にデジタル・フォレンジックが、貢献できることが、増えてきていると認識しました。
今年度は、ITコーディネータ協会から、後援をいただき、経営とITの橋渡しを役目としており、CIOやCIO補佐官にも有資格者が多い、ITコーディネータの更新ポイントの取得もできるようになりました。
今後、経営者、CIOにもデジタル・フォレンジックに興味を持っていただき、より身近なものとなることを期待しています。