第311号コラム「「法務・監査」分科会の第11期活動計画について」

第311号コラム:伊藤 一泰 理事 (栗林運輸株式会社 監査役)
題:「「法務・監査」分科会の第11期活動計画について」

既にIDFの第11期がスタートし、先日の定例総会にて活動計画が披露されたところです。IDF設立後の10年間で、デジタル・フォレンジックについての社会的認知度は飛躍的に向上しました。10年前、一般の人々に対し、「デジタル・フォレンジックとはどんな技術なのか?また、社会的にどんな利便性を提供できるのか?」について、わかりやすく説明するのはかなり困難でした。

それが今では、一般の新聞・雑誌でも様々な事件の解説記事などで、デジタル・フォレンジックについて言及することが増えてきました。

これによって、一般の人々も「あの事件を解決に導いた」要因や背景にある技術として、デジタル・フォレンジックについて知るようになってきました。

また、製品やサービスを提供する側の動きとしては、ソリューションベンダーはもとより、大手監査法人や弁護士事務所もサービス提供に名乗りを上げ、デジタル・フォレンジック関連のサービスを続々と開始しているところです。

第310号コラム「リングプロテクションモデルへの回帰」

第310号コラム:名和 利男 理事 (株式会社サイバーディフェンス研究所 理事 上級分析官)
題:「リングプロテクションモデルへの回帰」

「サイバー攻撃の急激な高度化と巧妙化」については、十数年前から毎年のように言われ続けているが、特に、ここ数年はそれ以前の想定や想像を遥かに超えるレベルで急激に変化している。

筆者は、国内の政府機関や民間企業に対するサイバー攻撃(前者)への対応に加え、公共の安全を害する恐れのある諸活動におけるサイバー攻撃(後者)も積極的に対応させていただいている。その中で、最近は「後者」の攻撃の質と量が劇的に向上していると強く感じている。被害組織の機密保持と利益確保のため、個別具体的に事例を紹介することはできないが、複数の組織で発生しているものとして、一例だけ挙げると次のようなことがある。

① 攻撃者は、ターゲットの関係組織(委託業者、プロジェクト等で連携している組織、協力会社等)の構成員のメールアカウントをハイジャックする(乗っ取る)。
② 攻撃者は、関係組織の構成員が、数十分前から数時間前にターゲットに送信した業務メールの添付ファイルをダウンロードし、(ゼロデイ脆弱性を利用した)不正コードを挿入した上で、当該メールに再添付する(差し替える)。(送信済みボックスから、容易にダウンロードできるため、関係組織の構成員は全く気付かない。)
③ 攻撃者は、②で細工した悪意のあるメールを、関係組織の構成員のアカウントで被害者に再送信する。(事実上の標的型攻撃メールとなる。)
④ ターゲットは、関係組織の構成員から再送されたメールと誤認識し、(攻撃者によって細工された)添付ファイルを疑いなく開封してしまう。

第309号コラム「警察官のサイバー事案対処能力の底上げのために」

第309号コラム:上原 哲太郎 理事 (立命館大学 情報理工学部 情報システム学科 教授)
題:「警察官のサイバー事案対処能力の底上げのために」

 この4月4日に、京都府警とセキュリティ関係企業、地元企業、大学および行政の共同の研究会である、京都サイバー犯罪対策研究会の設立総会がありました。上原も設立にあたってお手伝いさせて頂き、座長も拝命しておりますので、今回のコラムではこの研究会の活動とその背景についてご紹介します。

 これまでにも、この種の警察組織と産学が連携するような研究会・協議会の類いは各地に設立されています。京都府でも、これまで京(みやこ)サイバー犯罪対策協議会という組織が活動してきていました。これは府警のサイバー犯罪対策課が事務局となり「産業界を始め、関係行政機関、教育機関等が緊密に連携して、インターネットの安全利用や日々進化するサイバー犯罪の被害防止等に関して協議・検討し、サイバー空間における安全と秩序の確保の重要性を社会に問題提起するとともに、インターネット利用者の規範意識・防犯意識を醸成し、サイバー空間における安全・安心を確保することを目的とし」ていました(設立趣旨より)。つまり、府民を守るための情報共有と啓蒙が目的だったと言えます。

 一方、今回の研究会は逆に「警察のサイバー事案対処能力を向上させる」ことを明確な目的にしています。もう少し具体的には、遠隔操作ウィルス事案などのような容疑者の追跡や証跡の評価が難しい事案にも対応できる高度な捜査技術の研究と、サイバー犯罪対処能力を持つ警察官の裾野を広げるための人材育成を主な目的にしています。