第236号コラム「第9回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

第236号コラム:丸谷 俊博 理事・事務局長 (株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「第9回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

来る12月10日(月)、11日(火)の二日間、第9回目となるデジタル・フォレンジック・コミュニティ2012が開催されます。第9回となる今回は、昨年同様に参加者実績を反映して募集定員を260名に増やしておりますが、それを上回る参加申込状況となっています。また、展示企業も増えましたので展示室も1室増やしました。

今回のテーマは「企業活動のグローバル化に伴うデジタル・フォレンジック基盤の確立 – 今、必要なリスク対策を考える – 」とし、これらに関連した最新情報及び事例や適用技術、関係法令等の紹介と企業等の対応方法を示唆する内容で構成しておりますので各講演や研究会は、参加者の方々にとりまして有益なものとなると思います。
また、今年はメインテーマに関連して米国e-ディスカバリー協会からの講師もお招きして最新情報をお話し頂く他、日本と韓国や台湾との間での国際的証拠開示の現状等もご紹介致します。

第233号コラム「e-filingを実現する上での課題」

第233号コラム:町村 泰貴 理事(北海道大学大学院 法学研究科 教授)
題:「e-filingを実現する上での課題」

 我が国においてはオンライン申立てを可能とする規則が法律および裁判所規則に用意されている。民事訴訟法132条の10に規定されたのみならず、来年1月1日から施行される新しい非訟事件手続法42条および家事事件手続法38条でも、上記の民訴法の規定を準用して、オンライン申立てを可能にしている。

 しかし、実際には、督促手続を除けば、ほとんど利用されていない。オンライン申立て・送達の活用は、記録のデジタル化も含め、メリットが大きい反面、従来の実務を大きく変更する可能性を秘めており、メリットを活かすために克服すべき課題も多い。

 民事訴訟に限らず、より広くデジタル技術の訴訟手続への応用という観点からは、指宿信教授を中心とする研究グループ「司法制度改革と先端テクノロジィ」研究会(http://www.legaltech.jp)が活発な研究活動を行い、その成果は法律時報76巻3号(2004年)に『情報技術と司法制度改革:正義へのユビキタス・アクセスとIT革命』と題する特集にまとめられていた。
 この研究グループには筆者も一部参加し、2009年には「eサポート裁判の可能性 -民事訴訟の電子化を中心に-」と題するシンポジウムをコーディネートした。その成果は上記研究会のウェブサイトに掲載されている。

第232号コラム「在宅医療を中心とした医療のIT化推進における個人情報保護とデジタル・フォレンジック~第9期第2回「医療」分科会に向けて~」

第232号コラム:秋山 昌範 理事(東京大学 政策ビジョン研究センター 教授)
題:「在宅医療を中心とした医療のIT化推進における個人情報保護とデジタル・フォレンジック~第9期第2回「医療」分科会に向けて~」

先日の敬老の日に発表された総務省統計局の報告によると、日本の高齢者人口は初めて3,000万人を超え、高齢化率も24.1%となった。いわゆる「団塊の世代」すべてが2014年には65才以上に、そして2024年には75才以上になって、ますます高齢化が進む。この問題に対応するために、政府は「社会保障と税の一体改革」をすすめ、財源確保のために消費税増税も決まった。しかし、今の制度化では、各制度における個人情報管理の仕組みがバラバラであり、社会保障費に関する納付と給付の管理はヒモ付けできない。2007年5月に発覚した年金記録問題は、まだ記憶に新しい。国会の社会保険庁改革関連法案の審議中に社会保険庁のオンライン化したデータにミスや不備が多いこと等が明らかになり、国会やマスコミにおいて社会保険庁の年金記録のずさんな管理が指摘され、国民から批判された。同年秋頃から厚生年金基金においても類似の記録問題が明らかとなった。この年金納付に関する管理は改善されつつあるが、給付における大きな問題が医療費である。我が国は、世界最高と言われる医療システムが整備されている。この医療提供体制は、国民皆保険と呼ばれ1961年に確立し、その後の高度経済成長により支えられてきた。しかし、低成長からマイナス成長となった現在、給付管理の必要性がますます高まっている。