「法曹実務者」分科会(第22期第2回)
開催日時: 2025年7月3
日(木)19:00~
テーマ:「武器商人、昨今ノ スマホ解析事情ヲ 弁護士二 講釈ス」
■講師:砂原 圭太 氏(クオリティネット株式会社 サイバーフォレンジック事業部 情報分析部 部長)
■講演概要
「iPhone 上から完全に削除された写真、復元できますか?」
企業不祥事の委員会調査や犯罪の容疑者検挙に関する最近のニュース報道のとおり、スマートフォンに対するフォレンジック調査が注目されています。皆様が弁護士や企業法務部員、更には第三者委員会の委員や調査補助者として徹底した調査を行おうとする際、スマートフォンは時に有力な証拠の格納庫となることもあります。調査対象者が交わした会話、事件前後の行動履歴、証言の裏付けから犯罪事実の証明に至るまで、スマートフォン調査の成否が事案の全容解明や事実認定を左右することがあるかもしれません。
デジタル・フォレンジックは科学的な手法であり、本来、その恩恵は法曹三者にあまねくもたらされるのが理想ですが、調査件数に基づく経験値の差や、確保できる予算額の違いなどから、各事案の調査の関与者の知見やリソースに偏りが生じているのが現実です。そんな昨今のスマホ解析事情を、官民問わずフォレンジック研修を普段担当している講師が、(フォレンジックを武器に例え)武器商人とでもいうべき立場から解説します。
コラム第873号:「厚生労働省の令和7年度「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」案について」
第873号コラム:江原 悠介 理事(PwC Japan有限責任監査法人 リスクアシュアランス ディレクター)
題:「厚生労働省の令和7年度「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」案について」
2025年3月に開催された、厚生労働省の第24回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループで令和7年度版の「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」の案が提出された。今回はこのチェックリストの更新のポイントがどこにあるかを考えたいと思う。
日本国内で医療DXに関する諸施策が本格的に開始された2023年に医療分野に関するサイバーセキュリティの規制強化が同時に行われたことは周知の通りである。医療DXというアクセルは、サイバーセキュリティというブレーキと一体になって設計されることで初めて安定的な仕組みとなる。
コラム第872号:「地方創生の取り組み」
第872号コラム:伊藤 一泰 理事(近未来物流研究会 代表)題「地方創生の取り組み」
【Episode1】
僕の少年時代の原風景は、秋田県北部の農村風景である。そのころ暮らしていた家の窓から見えていた印象的な風景は、春の田んぼと農作業をしている農家の人たちある。
3月までの長い冬が過ぎて、雪解けの4月になると、北東北にもやっと春がくる。まだ、風は冷たいものの「水温む季節」である。春の農作業は、牛馬を使った代掻き(しろかき)から始まる。なかなか言うことを聞かない牛馬をなだめすかせて、木製農具を苦労しながら操るお百姓さんの姿を見ていた。
そのうち「耕運機」なるものが登場した。ヤンマーやイセキなどの農機具メーカーが開発した画期的な農業用機械だ。農家の人たちにとっては仕事が随分と楽になって作業効率アップになったようだ。