第116号コラム「業務でのフォレンジック調査と不正調査」

第116号コラム: 山内 崇 幹事(株式会社ピーシーキッド 取締役 データ復活サービス部 フォレンジックサービス部、IDF「技術」分科会幹事)
題:「業務でのフォレンジック調査と不正調査」

 弊社は業務でフォレンジック調査を行っています。

IDFの会員の中には当然フォレンジック調査を業務としている企業様も多いかと思いますが、他社の調査員の話を聞くとそれぞれの営業先やホームページ、広告また調査の得意とする分野等の違いにより、調査の内容はそれぞれの企業によって傾向があるように見えます。

 その中で弊社が良くお問い合わせ、ご依頼を頂くものは主に業務中のPCの不正利用や残業時間の社員の行動調査、情報の持ち出し等といった、一般的に不正調査と呼ばれる案件が中心です。
皆様も良くご存じの通りフォレンジック調査を行う側としては厳格な証拠保全を行った上でCOC認証によりEvidenceを保護し、FTKやEnCase等のツールを用いながら専門的な訓練を受けた調査員がクライアントの求める証拠を法執行機関等で証拠として通用するように注意をしながら作業を進めていくというように、証拠性に気を使いながら作業を行います。

第115号コラム「アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪」

第115号コラム: 石井 徹哉 理事(千葉大学大学院人文社会科学研究科社会科学専攻(法経学部兼務))
題:「アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪」

1 はじめに
librahack事件をご存じでしょうか。ある方が、岡崎市立中央図書館(通称Libra)の新着図書のページが使いづらいことから、自分専用のサイトを作ろうとして、phpスクリプトを使用して、新着図書ページから情報を取得しようとしたことに始まります。詳細は、御本人が作成されたをご覧下さい。
最初は、マニュアルでテストし、その後自動的にスクリプトを動かすようにしたのですが、シリアルアクセスでおよそ毎秒1リクエストになるように設定していたそうです。しかし、実際には、図書館側のサーバが落ちる自体となり、スクリプトを作成し、動かしていた人が逮捕され、20日の勾留の後、不起訴(起訴猶予)処分とされたものです。
問題は、法的な問題、技術的な問題、あるいは、社会制度上の問題等が交錯しており、議論することが難しいのですが、刑法の側から見たちょっとした分析と本件が示した課題について若干の感想を述べてみたいと思います。

第114号コラム「今後の第7期活動について」

第114号コラム: 丸谷 俊博 理事・事務局長(株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「今後の第7期活動について」

 お陰様にてIDF第7期活動は、5/13(木)の総会時に提示した計画通りに進捗しております。

具体的には、毎週木曜日のコラム発信、各分科会の開催(「技術」1回、「法務・監査」2回、「医療」1回)、「医療」分科会ワーキンググループの編成、11/12(金)の「特許・情報フェア」でのForensicセミナープログラムの編成、12月のデジタル・フォレンジック・コミュニティ2010企画及びプログラム編成の概成、9月に予定するIDF主催講演会(横断的ブレーンストーミング形式)の開催企画推進等となります。

 これらの活動は、IDF理事・監事・幹事による積極的なご推進と講師等をお引受頂きました方々やこれらの活動にご参加頂いておりますIDF会員各位のご理解、ご支援のお陰であると深く感謝しております。

 鑑みますれば、IDFを設立した2004年当時は、“デジタル・フォレンジック”という言葉自体が捜査関係者や一部の情報セキュリティ関係者が知っている程度でしたが現在は、各省庁等の白書や報告書にも記載され、情報セキュリティに関する基準や資料等にも“デジタル・フォレンジック”という記載か、またはデジタル・フォレンジックの用語は使われていなくともその概念を反映した記述が普通に見られる状況となって参りました。この様な趨勢の中で民間のファーストレスポンダー向けの「証拠保全ガイドライン」を4月に公開することができたことは、“デジタル・フォレンジック”を主たる事業としたり、社内での業務あるいは管理・監査・調査を担当する方々へ、デジタル・フォレンジックの手順や留意事項の一定レベルの共通認識や基準を示すことができたと思います。今後、電磁的証拠の保全手続きの参考基準として周知・普及してゆくようIDFとしても働き掛けて参りたいと考えております。

第113号コラム「医療分野におけるデジタル・フォレンジックへの期待-アメリカの一事例から-」

第113号コラム: 佐藤 智晶 幹事(東京大学政策ビジョン研究センター 特任助教)
題:「医療分野におけるデジタル・フォレンジックへの期待-アメリカの一事例から-」

 本コラムでは、医療分野におけるデジタル・フォレンジックの適用可能性に関連して、アメリカの事例を紹介する。そして最後に、デジタル・フォレンジックへの期待を述べる。

 医療分野におけるデジタル・フォレンジックといっても、場面はさまざまであろう(中安一幸幹事「第107号コラム「医療」分科会第7期の活動にあたり」を参照)。診療はもちろん医学研究でも、インシデントレスポンスや訴訟が問題となる可能性を否定できない。本稿では、そのなかでも処方せんに関連する問題を取り上げる。
 アメリカでは、処方せんを利用した薬剤給付管理が進んでいる。薬剤給付管理とは、誤解を避けずにごく簡単に言えば、個人識別情報を除去した後の処方せんをデータ・マイニングして、その情報に基づいて医師に最善の薬剤処方を促すための重要な業務である。医師と患者はもちろんのこと、製薬会社にとっても薬剤給付管理は欠かせない。製薬会社は、データ・マイニングの結果に基づいて、医師に効果的な販売促進活動ができるからである。

第112号コラム「犯罪の最前線からデジタル・フォレンジック?」

第112号コラム:大橋 充直 氏(ハッカー検事 IDF会員)
題:「犯罪の最前線からデジタル・フォレンジック?」

1 急速な電子化とネット化だが
 検察庁へ任官時に私物パソコンを持ち込んでから、犯罪の最前線にいること延べ20年を突破した。2年間の法総研研究官のときも、サイバー条約関連立法動向を見据えたし、法務統計や司法統計を通して、ハイテク犯罪(サイバー犯罪)を巨視的に見つめた。その間に私物パソコンも、CUIシングルタスクDOSマシンからGUIネット対応マルチタスクOSマシンへと更新を重ねた。コンピュータの普及、インターネットの普及、携帯電話の普及などに比例して、ハイテク犯罪が普及?したし、普及のほかに手口も高度化し、それに併せて取締り技法も、証拠化技法も進化した。
 もとより、社会の電子化とネット化はとどまるところを知らず、ごく普通の町医者も電子カルテを叩きながら問診するのが普通になったし、犯罪の被害者や目撃者も、携帯写メで逃走車両のナンバーを撮影したり、脅迫メールの通信履歴を保存したまま、携帯ごと画像やメール1送受信記録を提出して捜査に協力する時代である。