第288号コラム「電子署名と電子認証の関係」

第288号コラム:手塚 悟 理事(東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 教授)
題:「電子署名と電子認証の関係」

我が国において一般的に使われている電子署名の制度は、民間分野では電子署名法、公的分野では公的個人認証サービスがある。

電子署名法は、正式には「電子署名及び認証業務に関する法律」と呼ばれ、2001年4月1日に施工された。電子署名法の概要は、電磁的記録の真正な成立の推定と特定認証業務の認定である。
電磁的記録の真正な成立の推定とは、電子署名法第三条で、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電子的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と規定されている。
特定認証業務の認定とは、電子署名法第二条三項で、「「特定認証業務」とは、電子署名のうち、その方式に応じて本人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて行われる認証業務をいう。」と規定された特定認証業務に対して、第四条で、「特定認証業務を行おうとする者は、主務大臣の認定を受けることができる。」と規定されている。

第287号コラム「放送・通信の4類型と組織通信・組織暗号-情報セキュリティ概念の高度化に向けて」

第287号コラム:辻井 重男 顧問(中央大学研究開発機構 教授)
題:「放送・通信の4類型と組織通信・組織暗号-情報セキュリティ概念の高度化に向けて」

先月(2013年10月)、ブラジルで開催された、ITを中心とする、ある国際会議から、私が提案している組織通信・組織暗号の概念について、招待講演を頼まれ、中央大学で同僚の山口教授が講演しました。この国際会議は、技術系と経営系のリーダー達が集まる学際的な学会で、山口教授のKey Note Speechは、テキサス大学の研究・ベンチャー企業育成担当副学長や、アラバマ大学のディレクターなどから強い関心を集めました。流石、米国のトップは、現実に根差した新しいコンセプトに敏感なようです。

また、私が理事長を務めている一般財団法人 マルチメディア振興センターが主催する、公共情報コモンズ・プロジェクトの大会の閉会挨拶で、組織通信に触れたところ、政治家、官僚、自治体、メディアの方々から、広く興味を持たれました。公共情報コモンズとは、自治体、消防庁、気象庁、国土交通省などから災害情報を収集して、データ形式を整え、NHKをはじめとするメディアに送信するシステムで、総務省の支援の下に鋭意、推進しているプロジェクトです。一般に、このような組織間の通信では、電話のような個人間通信と異なり、送信情報の正確性・迅速性、論理的無矛盾性、耐コンプライアンス性等が要請されます。

そこで、組織通信とは何か、放送・通信の四類型という視点から、以下に纏めてみました。デジタル・フォレンジックの視点からも考察しましたので、ご一読頂ければ幸いです。組織暗号については、技術的な解説を要しますので、機会を改めることにします。

第286号コラム「セキュリティガバナンスはできる範囲だけやればよいのか?」

第286号コラム:丸山 満彦 監事
(デロイト トーマツ リスクサービス株式会社 パートナー、
公認会計士、公認情報システム監査人)
題:「セキュリティガバナンスはできる範囲だけやればよいのか?」

情報漏えい事件がおこったり、企業のネットワークに侵入された可能性があったりとあいかわらず情報セキュリティにまつわる事件、事故というものはなくなりません。こういった事故や事件が発生するたびに企業全体(もちろん、親会社だけでなくグループ企業も)の情報セキュリティガバナンスの重要性がいわれます。

経済産業省も平成16年(2004年)9月から翌3月にかけて「企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会」を開催し、「社会的責任にも配慮したコーポレート・ガバナンスと、それを支えるメカニズムである内部統制の仕組みを、情報セキュリティの観点から企業内に構築・運用すること、すなわち「情報セキュリティガバナンス」の確立が求められる。」とし、情報セキュリティガバナンスの確立を促進するための施策ツールとして情報セキュリティ対策ベンチマーク、情報セキュリティ報告書モデル、事業継続計画策定ガイドラインを提示しました。問題意識まではよかったものの、その対策のための方策が適切でなかったのではないかと思います。その後の情報セキュリティガバナンスの普及にはあまりつながらなかったように感じています。続いて、平成19年(2007年)1月から3月にかけて「情報セキュリティガバナンス研究会」が開催され、「情報セキュリティガバナンス研究会報告書 ~情報セキュリティによる企業価値創造に向けて~」が公表されましたが、これもまた普及にはそれほどつながらなかったのではないかと思います。