第133号コラム「『アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪(115号コラム)』への返答」

第133号コラム:佐藤 慶浩 理事(日本ヒューレットパッカード株式会社 個人情報保護対策室 室長)
題:「『アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪(115号コラム)』への返答」

 このコラムでは、第115号コラムの「アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪」に返信したいと思う。先のコラムでは、法律の専門家である石井徹哉理事から、技術者に対して、サーバの停止事故があったときに、それがクライアント側ソフトウェアによる過度の要求なのか、サーバ側のソフトウェアの不備なのかについて、裁判の証拠として利用できるような以下の評価や判断基準を考えることができるかという問いかけをいただいた。

問1.ソフトウェアに対する技術的評価に対する理論的枠組み

問2.ソフトウェアの害悪性・有害性に対する評価の可能性

問3.フォレンジックの原点:科学的知見の法廷証拠への活用

 これらの問いかけに答えるべく、当研究会では情報ネットワーク法学会との共催で9月18日と11月11日の2回、会員以外も含めてそれぞれ約50名の参加者とともに、合計5時間20分間に及ぶ座談会を開催した。
結論からすると、時間の制約で、問2と問3については直接の検討はできなかった。

第132号コラム「グローバルな企業戦略におけるデジタル・フォレンジックの役割について」

第132号コラム:守本 正宏 理事(株式会社UBIC 代表取締役社長、IDF理事)
題:「グローバルな企業戦略におけるデジタル・フォレンジックの役割について」

サブプライムローン問題に端を発する世界同時不況は一旦終息したかのように見えましたが、ギリシャ問題がクローズアップされるや否や再び世界経済は先行き不安定な状況になりました。ギリシャ問題は金融システムの問題ではなく国家規模の赤字問題であるため、一時的に処置をしても根本の原因を治療できない限り、赤字が再生されるという問題です。現在は、先行き懸念が少し後退しているとはいえ、根本の治療には非常に長い時間と厳しい努力が要されるものであり、また同様の問題はスペインでも発生し、その後、各国の通貨安合戦なども始まり、今後どのような影響を世界経済に及ぼすかは予断を許さない状況だといえます。

経済が低迷しているような中でも、世界に進出している企業にはさまざまな深刻な法的問題に直面しています。たとえば、トヨタ自動車をめぐる「意図しない急加速」の問題や、メキシコ湾原油流出事故、日本の製造メーカー数社に対する価格カルテルの疑義、あるいは世界的企業同士の合併に対する競争法対応などです。