第296号コラム「児童ポルノの拡散をいかに防ぐか」

第296号コラム:石井 徹哉 理事(千葉大学大学院 専門法務研究科 教授)
題:「児童ポルノの拡散をいかに防ぐか」

1 現在開会中の国会に提案されている児童買春、児童ポルノに係る行為等処罰及び児童の保護に関する法律の一部を改正する法律案では、児童ポルノの所持又はこれに係る電磁的記録の保管(以下「児童ポルノの所持等」とする)が禁止され(6条の2)、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を犯罪化(新第7条1項)することが提案されています。それとともに、同法律案では、プロバイダや掲示板管理者等インターネット関連事業者一般に対して、児童ポルノの拡散防止のために、捜査機関への協力、その管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずる努力規定(14条の2)を設置している。これは、附則において、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧制限について、3年をめどとして、技術開発の状況等を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講じられるものとしている(2条2項)ことから推察すると、ブロッキングを含むものと想定しているものでしょう。

第295号コラム「なぜ日本の公衆無線LANにはユーザ登録が必要なのか」

第295号コラム:小向 太郎 理事
(株式会社情報通信総合研究所 法制度研究グループ部長 主席研究員)
題:「なぜ日本の公衆無線LANにはユーザ登録が必要なのか」

東京オリンピックの開催が決まり、あちこちでオリンピックに向けた準備が始まっている。これを機会に外国からの旅行者に優しいインフラを整備しようという気運が高まっている。そのせいもあってか、日本の公衆無線LANが海外に比べて不便なので、何とかしなくてはという意見を聞くことがある。

たとえば、日経新聞の2013年11月9日の記事では、「無料WiFi

外国人旅行者、メルアド要求に困惑」という見出しで、利用に際してメールアドレス等を登録しなければ使えなくて不便だという声を紹介している(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD080B3_Y3A101C1TJ2000/)。確かに、米国のスターバックスやウォルマートで公衆無線LANを利用する場合には、登録等をしなくてもアクセスができる。日本では、地方自治体等が観光客向けに提供している無料サービスでも、最低限メールアドレスの登録を求めている場合が多い。これは、セキュリティを確保するためだと受け止められているようだ。先の日経新聞の記事でも、「無線を使うため、データの傍受やなりすましが起こりやすいとの懸念が根底にある。安全対策は重要だが、使い勝手との両立を考える必要がある」と説明している。

しかし、利用者が登録をすれば「データの傍受やなりすまし」が防げるのだろうか。これはむしろ、公衆無線LAN経由でインターネットにアクセスした者が不正アクセスや犯罪を行った場合に、追跡の手がかりとなるように登録をしていると理解した方がよい。インシデント発生時におけるデジタル・フォレンジックスの元になる情報として、こうした登録が必要だと考えられているのであろう。それでは、なぜ米国ではこうした登録なしでアクセスが提供できているのだろうか。

第294号コラム「全国生徒会サミット いじめ撲滅宣言 に参加して」

第294号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人 クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「全国生徒会サミット いじめ撲滅宣言 に参加して」

昨年9月に、全国43の中学校から45名の生徒会メンバーが集まり、いじめを撲滅するために自分たちに何ができるのかを話し合う「全国生徒会サミット」が開催されました。

サミットでは、私も現在推進しているピースフルスクールプログラムについてお話をさせていただきました。このプログラムが開発されたオランダでもいじめの問題が起きており、いじめに先生や親といった大人が介入すると、状態が悪化することが明らかになったそうです。

そこで、いじめ問題を解決するためには、大人が介入するのではなく、生徒が主体的に問題解決に臨むことが大切だという考えに至りました。こうして開発されたプログラムで、生徒はいじめられていると感じた時には「ノー」と言えること、傍観者にならないことなどのスキルを習得しながら、いじめのない安心安全なコミュニティ文化を創る力を磨きます。

一方、いじめサミットに参加する日本の生徒たちの話し合いでは、いじめに関わると自分がいじめの対象となってしまうかもしれないという恐怖を誰もが感じていることが明らかになりました。
いじめはよくないことだとみんな感じているのに、傍観者でいることでしか自分を守ることができないというコミュニティに、子どもたちは身を置いています。
最近では、サイバーいじめも増加しており、学校から家に帰ってもいじめから逃げることができず、家も安全な場所ではなくなっているのです。

第293号コラム「新しい年を迎えて」

第293号コラム:佐々木 良一 会長(東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
題:「新しい年を迎えて」

皆様、2014年あけましておめでとうございます。

ご存知のようにデジタル・フォレンジックも本格的実用段階に入り、いろいろな局面で利用されています。個人情報の漏洩などに関連して漏洩事実や漏洩経路を明確化するために民間でも専門業者に依頼してデジタル・フォレンジックを適用する機会が増えてきているように思います。また、警察でもデジタル・フォレンジック技術なしには適切な捜査が行えない時代になってきています。

一方、最近のサイバー攻撃は面白半分での攻撃だけでなく、自己の主張を通すための攻撃や、お金を不正に得るための攻撃や、国家の意思に沿った攻撃も増えてきています。また、不特定多数を狙う攻撃から特定の人や組織を対象とする「標的型攻撃」と呼ばれるものが増えてきています。これに伴い、攻撃方法も非常に巧妙かつ激しいものとなってきており、不正侵入の検知などの「入口対策」だけで防ぎきるのは困難となっており、内部での活動の監視や、機密情報の不正な送信の検知と防止などの対策と組み合わせることが必要となっています。このような検知や対応の決定のためにはデジタル・フォレンジックが不可欠となっています。特に、サーバなどのログを利用するだけでなく、ネットワーク上のやり取りを記録したパケットログを使ったデジタル・フォレンジックの一分野であるネットワーク・フォレンジックが重要性を増してきています。