第294号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人 クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「全国生徒会サミット いじめ撲滅宣言 に参加して」

昨年9月に、全国43の中学校から45名の生徒会メンバーが集まり、いじめを撲滅するために自分たちに何ができるのかを話し合う「全国生徒会サミット」が開催されました。
サミットでは、私も現在推進しているピースフルスクールプログラムについてお話をさせていただきました。このプログラムが開発されたオランダでもいじめの問題が起きており、いじめに先生や親といった大人が介入すると、状態が悪化することが明らかになったそうです。
そこで、いじめ問題を解決するためには、大人が介入するのではなく、生徒が主体的に問題解決に臨むことが大切だという考えに至りました。こうして開発されたプログラムで、生徒はいじめられていると感じた時には「ノー」と言えること、傍観者にならないことなどのスキルを習得しながら、いじめのない安心安全なコミュニティ文化を創る力を磨きます。

一方、いじめサミットに参加する日本の生徒たちの話し合いでは、いじめに関わると自分がいじめの対象となってしまうかもしれないという恐怖を誰もが感じていることが明らかになりました。
いじめはよくないことだとみんな感じているのに、傍観者でいることでしか自分を守ることができないというコミュニティに、子どもたちは身を置いています。
最近では、サイバーいじめも増加しており、学校から家に帰ってもいじめから逃げることができず、家も安全な場所ではなくなっているのです。

学びの場が安全安心であることは、学習において必須条件と言われています。いじめに怯え、不安な気持ちを抱きながら過ごすことは、子どもたちが勉強に集中できない原因にもなっています。
現在、当財団は、健全な心と問題解決のスキルを育み、子どもたち自身が安心安全な場所を創ることができるようピースフルスクールプログラムを広める活動を推進しています。

残念ながら、大人の社会においてもいじめが起きています。他者を思いやり、絆を大切にする国民性を持ちつつも、多様化する社会において、自分とは異なる他者と心を通い合わせるのが困難であるため、尊重するのではなく排除しようとしている大人も多いです。そんな大人の姿を子どもたちは見ています。私たち大人もしっかりとコミュニケーション力を強化し、安心安全なコミュニティ文化の形成に貢献していくことが大切です。ぜひ一緒にこのプログラムで学びましょう。

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