第193号コラム「クラウドの諸問題を今一度考えてみる」
第193号コラム:須川 賢洋 理事(新潟大学大学院 現代社会文化研究科・法学部 助教)
題:「クラウドの諸問題を今一度考えてみる」
今回のコラムは、拙稿コラム147号「二つの最高裁判例に見る動画配信」の続きでもある。この時に筆者はテレビ番組をネットを通じて地方や海外などに配信する事業の判例に関して、「番組のネット配信だけに限った問題のようにも思えるが、今後、各種クラウド事業や書籍の電子化代行サービスなどにも影響を与える可能性を秘めている。」と書いた。たまたま同様のことを問題提起した記事が、先日(2012年1月9日)の日本経済新聞の法務面にも載っていた。
ネットワークを利用したコンテンツ配信関連の事件は、ずっと単なる著作権侵害(公衆送信権侵害や複製権侵害など)の成立の有無に関する事件としてだけ捉えられてきたが、ここに来て、「クラウド」というキーワードと共に、再評価(評価というより検討か?)されるようになってきている。ネットワーク上に滞留させたコンテンツを利用するという行為が、今でいう「クラウド・サービス」と特性がたまたま一致したせいであるのだが…。それ故、知財、とりわけデジタル著作権の世界では、まだクラウドという言葉が使われる遥か以前から、ネット空間からコンテンツが降ってくる際の法律問題についていろいろと議論されてきた。
