第266号コラム「民事司法のIT化の現状」
第266号コラム:町村 泰貴 理事(北海道大学大学院法学研究科教授)
題:「民事司法のIT化の現状」
民事裁判は、大量の情報を両当事者と裁判所との三者間でやり取りをする、情報流通のプロセスと理解することができる。実際裁判所の下で行われる手続は、有形力の行使を必要とする行為はほとんどなく、権利の保全、審判、執行のあらゆるプロセスが情報のやり取りだけで済ませられる。例外的に有形力が行使されるのは、法廷の秩序維持が必要となるような場合と、物の占有を実際に移転させるような場合に限られる。
このように情報流通が中心となる民事裁判のプロセスは、従って、そのほとんどが情報コミュニケーション技術による高度化に適するということができる。
このことは、既に平成になって始められた司法制度改革の中でも意識され、いわゆるIT化が進められるべきことが司法制度改革審議会意見書にも、以下のように明記されたところである。
