第154号コラム「八百長のフォレンジック」

第154号コラム: 小向 太郎 理事(株式会社情報通信総合研究所 法制度研究グループ 部長 兼 主席研究員、IDF「法務・監査」分科会主査)
題:「八百長のフォレンジック」

前回のコラムを「八百長のフォレンジック」として予告していたのですが、東日本大震災直後の配信となったため震災に関する内容に変えさせていただきました。

大相撲の八百長問題は、その後、特別調査委員会の調査によって八百長関与を認定された23人に対して、相撲協会が引退勧告や出場停止などの処分を示しています。

大事件が続くなかで、あまり世間の関心を集めなくなっていますが、デジタル・フォレンジックとも関係する話題なので、改めて取り上げたいと思います。

相撲の星のやりとりは、以前から囁かれていたものであり、事実そうしたことが行われていたのでしょう。
今回の発端は、警視庁が行っていた野球賭博に関する捜査で押収された携帯電話のなかに、八百長を持ちかけるメールが見つかったというものでした。
端末上で削除されていたメールのデータを復活されるのにデジタル・フォレンジックの技術が使われており、電子情報におけるデジタル・フォレンジック技術の威力を知らしめることにもなりました。
たしかに、強制捜査で押収すれば、そのなかに被疑者が隠そうとする証拠もみつけることもあり得るでしょうし、フォレンジック・ツールが有効に使われる場面だと思います。

第152号コラム「東北地方太平洋沖地震から考察するダメージコントロール」

第152号コラム: 守本 正宏 理事(株式会社UBIC 代表取締役社長)
題:「東北地方太平洋沖地震から考察するダメージコントロール」

1000年に一度とも言われる地震と津波の発生とそれに伴う原発事故により東北地方と関東北部の太平洋岸では戦後最大の甚大なる被害がでました。地震が発生した当日ちょうど私は出張で米国にいました。ホテルに帰って仕事をしていると、ウェブサイトで地震発生の知らせが入りましたが、当初はどうせいつものことであろうと気にしていませんでした。ところが数分後、私の妻から電話がかかり、すぐ直後に会社からも電話が入りました。ようやく事の重大性を理解し、必要な処置を米国から日本にいる弊社スタッフに対応に関する指示をだしました。運よく、海外からの回線は国内の回線より比較的通じやすかったので情報の伝達は日本にいるよりもスムーズにできたのが幸いでした。
 米国ではいつもは日本に関連するニュースなどほとんど流れないのですが、地震・津波発生の瞬間を境に毎日24時間にわたって日本の地震・TSUNAMI・原発のニュースを流すという状況になりました。

第151号コラム「自治体におけるデータバックアップとフォレンジック」

第151号コラム: 上原 哲太郎 理事(京都大学 学術情報メディアセンター 准教授、IDF「技術」分科会主査)
題:「自治体におけるデータバックアップとフォレンジック」

東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。阪神淡路大震災での被災者の一人として、あの時のご恩をお返しする時だと考え、自分に今できることをずっと自答し続ける日々を過ごしています。

今回の震災では、特に三陸沿岸部の大きな津波被害が問題となりました。この影響で、いくつかの自治体では自治体機能そのものが大きな打撃を受けています。阪神淡路大震災では情報の混乱、物資流通の混乱により救援活動の初動に課題を残したという反省から、災害時には各基礎自治体が情報と物資流通を整理する役割を果たすような体制が組まれていましたが、その機能が完全に失われるという事態は特に初期の救援体制に大きな影響を及ぼしたと思われます。特に、現在の自治体業務は電算化が進んでいますので、情報システムの喪失は自治体の機能停止を意味します。中でも、住民基本台帳システムは多くの自治体情報システムが参照する中核的役割を果たしていますから、これの喪失は自治体機能の再建への大きな障害となってしまいます。