第90号コラム「サイバー犯罪手口からみたデジタル・フォレンジック」

第90号コラム:岩井 博樹 氏 (株式会社ラック、 コンピュータ・セキュリティ研究所、IDF団体会員)
題:「サイバー犯罪手口からみたデジタル・フォレンジック」

 

「サイバー犯罪の痕跡が見つからない!?」そんな事案が増加しています。その背景には、IT技術の進歩に伴う環境の変化や、サイバー犯罪手口の巧妙化など様々な要因が考えられます。近年では、組織的なサイバー犯罪も増加傾向にあり、その規模も徐々に拡大しています。サイバー犯罪の電子的な痕跡を発見し、法的な証拠性を明らかにすることがデジタル・フォレンジックの目的の1つです。しかし、最近のサイバー犯罪手口は巧妙化しており、電子的証拠の発見だけでも大変な労力を使うようになってきました。そろそろ、近年のサイバー犯罪手口に対抗するために、新たな調査手法を考えなければならない時期にきたのかもしれません。そこで、本稿では、筆者が興味深かった事案を取り上げ、現在のサイバー犯罪手口に対しての、デジタル・フォレンジック技術の有効性と今後の課題について考察します。

第89号コラム「暗号の世代交代」

第89号コラム:山岸 篤弘氏 (CRYPTREC事務局) ※山田 晃 理事(IPA)ご提供
題:「暗号の世代交代」

携帯電話や各種交通システム、行政システム、オンラインショッピング等、現代社会では様々な場面で電子化及びネットワーク化が進んでおり、これに伴い、生活の利便性の向上や省力化が期待されています。しかしながら、サービスの提供者と受容者の間には、利用対象のサービスとは無関係な電子機器やネットワークが介在することにより、「盗聴」や「なりすまし」、「情報の改ざん」等、新らたな脅威が生じてしまいます。

「なりすまし」や「情報の改ざん」は、厳密には電子化やネットワーク化に伴って新たに生じた脅威とは言えませんが、電子化やネットワーク化によって、実行することがより容易になっているのは事実です。「盗聴」や「なりすまし」、「情報の改ざん」等の脅威は、サービスの提供者、受容者双方にとって、不正行為の検出が困難なため、従来よりも注意を必要とします。この電子化やネットワーク化に伴う脅威へ対抗する技術として「暗号」が利用されているのは周知の通りです。

第88号コラム「コンピュータシステムの内に居る人間、外から使う人間:福は内、鬼は外」

第88号コラム:野津 勤 幹事 (株式会社システム計画研究所)
題:「コンピュータシステムの内に居る人間、外から使う人間:福は内、鬼は外」

今まで私は、主に2分野のシステム製品の開発に長年携わってきた。一つはプロセス制御システムで、石油・化学・食品・鉄鋼・電力等の様々な製造工程の自動制御を担っている。もう一つは医療情報システムで、PACS(Picture Archiving and Communication System:診断画像の通信・保存システム)、RIS(Radiology Information System:放射線部門業務システム)、画像配信システム等である。医療情報システムの中の主な要素としてセキュリティ機能も含まれる。分野としての法規制の存在の大きさから言って、後者の方が法的な面との関連が強い。

以下に、節分の風物詩を思いながら“人間の役割・立ち位置とコンピュータシステム機能”について、両システムの概略でかなり強引にフォレンジック的に比較してみる。

新年の劣化状態の頭で、単純化は出来ないことを断定的に書いているので、異論があることは承知で、こんな比較も有りうるということでご参考になれば幸いである。