第114号コラム: 丸谷 俊博 理事・事務局長(株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「今後の第7期活動について」

 お陰様にてIDF第7期活動は、5/13(木)の総会時に提示した計画通りに進捗しております。
具体的には、毎週木曜日のコラム発信、各分科会の開催(「技術」1回、「法務・監査」2回、「医療」1回)、「医療」分科会ワーキンググループの編成、11/12(金)の「特許・情報フェア」でのForensicセミナープログラムの編成、12月のデジタル・フォレンジック・コミュニティ2010企画及びプログラム編成の概成、9月に予定するIDF主催講演会(横断的ブレーンストーミング形式)の開催企画推進等となります。

 これらの活動は、IDF理事・監事・幹事による積極的なご推進と講師等をお引受頂きました方々やこれらの活動にご参加頂いておりますIDF会員各位のご理解、ご支援のお陰であると深く感謝しております。

 鑑みますれば、IDFを設立した2004年当時は、“デジタル・フォレンジック”という言葉自体が捜査関係者や一部の情報セキュリティ関係者が知っている程度でしたが現在は、各省庁等の白書や報告書にも記載され、情報セキュリティに関する基準や資料等にも“デジタル・フォレンジック”という記載か、またはデジタル・フォレンジックの用語は使われていなくともその概念を反映した記述が普通に見られる状況となって参りました。この様な趨勢の中で民間のファーストレスポンダー向けの「証拠保全ガイドライン」を4月に公開することができたことは、“デジタル・フォレンジック”を主たる事業としたり、社内での業務あるいは管理・監査・調査を担当する方々へ、デジタル・フォレンジックの手順や留意事項の一定レベルの共通認識や基準を示すことができたと思います。今後、電磁的証拠の保全手続きの参考基準として周知・普及してゆくようIDFとしても働き掛けて参りたいと考えております。

 今後もITインフラが益々高度化し、またクラウドの進展が確実な趨勢にみられるようにユーザーは機器やソフト、サービス等を利用(使用)するだけという感覚となり、情報保全は、それらのサービス(XaaS)を提供する側が保証するので、ユーザーは、“情報セキュリティ等は特に意識する必要性が無いものである”との感覚も強くなる(情報保全意識が低減してゆく)傾向が高まる(ユーザーにとっては情報セキュリティを意識しないで済むことは好ましいことだと思いますが)と思います。
この様な趨勢の中では今後も必ず発生するであろうインシデント後の事実や原因の調査・確認、迅速な処理・対応を行うために、またその後の訴訟等に備えるためにも益々、デジタル・フォレンジックの考え方(ガイドラインを含む)や専用機材、専用ソフト、それらを扱うためのトレーニング及び専門事業者が提供する関連サービス等を紹介し、各分野の各種システムやネットワーク等への導入(組込)を推進する必要性が高まっていることは間違いの無いことであり、IDFは、その普及に一層努めねばならないと感じております。IDF会員各位のご支援、ご活躍をお願い致します。

 さて、題目としました今後の第7期活動予定ですが、主要なものは以下のようになっております。
1 分科会活動    ※特許フェア(11月)とコミュニティ(12月)を除く開催予定
(1)「技術」 分科会: 第2回(8月下旬~9月に開催予定:事例紹介)、第3回(10月開催予定:公募)、
第4回(2011年2月予定:「証拠保全ガイドライン」の改訂関連)
同   WG : 9月より「証拠保全ガイドライン第1版」の普及と改訂について検討を逐次実施、第7期末に第1版の改訂(環境・状況の変化に対応しての修正・加筆等)を行います。

(2)「法務・監査」 分科会: 第3回(8月~9月に開催予定:e-Discovery書籍内容解説等)、
                  第4回(2011年2月開催予定:公募)

(3)「医療」 分科会: 第2回(11/20(土)午前に開催:医療情報学秋季大会(浜松)との共催)、
               第3回(2011年3月開催予定:「医療」分野ガイドラインの説明・公開)
     同   WG : 6月からWGがスタートし検討推進中。第7期末に“使われる(自己防衛手段としての)ガイドライン”を作成することを目指しています。

2 IDF主催講演会企画(9月~10月に開催予定)について
 5月のIDF理事会にて提起され具体化することとなりましたデジタル・フォレンジックを各方面への普及を一層図るために技術系、法務系等の関係団体・研究者、関係企業等にも参加頂き、横断的なブレインストーミングでのデジタル・フォレンジック及び関係する問題・課題についての検討や交流を行う場として企画・実施します。

 現在、テーマや構成メンバー等を検討・調整中で、概要が固まり次第、開催案内を発信します。

3 「特許フェアでのIDFセミナー(11/12開催)」について
 科学技術館で11月に開催される「2010特許・情報フェア&コンファレンス」において11/12(金)にIDFによるフォレンジックセミナーを開催します。既にプログラムは固まっておりますが主催者であるフジサンケイ ビジネスアイによる公開に併せて8月末頃に公開致します。

 尚、午前中が佐々木理事他によるデジタル・フォレンジックの全般解説、午後が「技術」と「法務・監査」分科会によるセミナーとなっております。IDFでは、セミナー自体はセミナー会場の収容人数の制約で100名規模(主催者による申込者からの抽選)での実施となりますが、同フェアへ来場する数千名の方々へのデジタル・フォレンジックを紹介する好機と捉えております。また、会場内にデジタル・フォレンジック特別展示コーナーが設けられます。
※「2010特許・情報フェア&コンファレンス」  http://www.business-i.net/event/pif/ 

4 「デジタル・フォレンジック・コミュニティ2010(12/13~14)」について
 例年取り、12/13(月)~14(火)グランドヒル市ヶ谷において開催します。テーマ、趣旨、プログラム編成を終えておりますが、7/26(月)の理事会での審議・承認を経て8月末~9月初めに公開、受付開始予定です。今暫くお待ち下さい。

 尚、今年は、企業の生存や成長の安定的な持続性を確保するためには、それを阻害するような事業リスクを排除もしくは低減する必要があるとの認識が浸透してきており、デジタル・フォレンジックがそれに必要な技術基盤でもあることに対応したテーマと講師(国の施策、心理学的アプローチ(調査)手法、法的証明力の担保(設計)、及び企業内情報セキュリティ部門の事例紹介等)をアサインしており、また、「技術」研究会、「法務・監査」研究会及び交流会、企業展示も行います。

5 コラム冊子化計画について
  会員サービスの一貫として、第5期(2008年度)5月から毎週木曜日の発行を続けてきているコラム(本コラムで延べ114本目)を冊子化して提供(各期毎に冊子としてまとめる方向)することを検討中です。IDF会員には無償での配布とし、非会員には購入希望があれば有償での販売という方向で検討を進めます。7/26(月)の理事会で審議致しますのでその後、IDF会員に冊子化の可否、可の場合の提供予定等についてお知らせ致します。

  ※冊子化経費の算定はまだですので販売価格等は未定です。

 最後にIDF会員へのお願いとなりますが、IDFへの入会者や官公庁からのオブザーバー参加者は、逐次増えてきておりますが、今期は「証拠保全ガイドライン」や「e-Discovery」等の普及、そして「医療」分野のガイドライン作成等が進められますので、IDF会員各位におかれましても関係者・団体・企業等にもIDF活動をご紹介頂き、多くの新規入会者を獲得(=デジタル・フォレンジックの普及推進、社会浸透の広範化)できますようIDFへの入会勧誘や諸活動への参加勧誘支援を何卒、宜しくお願い致します。

 また、IDF会員各位には、今後ともIDFの諸活動への積極的なご参加をお願いすると共にコラムや分科会の公募枠への応募等、積極的なご参画、ご発信も宜しくお願い致します。

【著作権は丸谷氏に属します】