第98号コラム: 藤村 明子 幹事 (NTT 情報流通プラットフォーム研究所 情報セキュリティプロジェクト セキュリティ社会科学グループ)
題:「新刊のご紹介~『実践的eディスカバリ』 米国民事訴訟に備える」
いよいよ2009年度も大詰めとなりました。
今期の本研究会、そして「法務・監査」分科会の活動に対する皆様のご理解及びご支援に心から御礼申し上げます。
IDF第7期もよろしくお願いいたします。
さて、今コラムでは、本研究会「法務・監査」分科会の活動の一環として出版する書籍のご紹介をいたします。
この号が配信される頃には既に一般の本屋さんにも並んでいると思いますので、ぜひお手にとっていただければ幸いです。
米国の民事訴訟では、eディスカバリといわれる手続が存在しています。日本の訴訟制度下ではこれに類似した手続がないこともあり、一般的な知名度も関心はまだ低い手続ということができるかもしれません。
しかし、当該手続にのっとって電子情報を含めた証拠の開示を求められた際に、技術的、合理的な手順なしにデータを取り扱うと、訴訟において思わぬ不利益を受けることにもなりかねません。
そして、米国内だけに限らず、米国を対象に取引を行っている日本企業であれば、将来的にそのような場面に遭遇する可能性は十分にあります。そこで、eディスカバリとはなにか、フォレンジック技術との関係性はどうか、今のうちに何ができるか、といった観点から、各分野の専門家が議論を重ね、このたび一冊の本にまとめました。
技術者の方は、日米問わずいわゆる民事訴訟の複雑さや専門用語の多さについついめげそうになったこともあるかもしれません。
本書ではその点に配慮し、身近な事例から生じるであろう疑問を出発点に理解していただけるようできる限り工夫をいたしました。また、法曹関係者の方にも、日米の手続の相違という観点からeディスカバリが持つ特殊性を見出していただけるような構成をとらせていただきました。
その他幅広い分野の企業人、研究者、学生など、より多くの方々にとって、本書がeディスカバリの理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
—–
『実践的eディスカバリ』 米国民事訴訟に備える
町村 泰貴/小向 太郎 編著
藤村 明子/金子 宏直/橋本 豪/西山 俊彦/松前 恵環/須川 賢洋 著
デジタル・フォレンジック研究会 監修
出版社: NTT出版
発売日:2010.03.11(予定)
定価:3,360円
サイズ:A5判
ISBNコード:978-4-7571-2257-4
<目次>
第1章 eディスカバリの何が問題か
第2章 アメリカの民事訴訟とディスカバリ
第3章 ディスカバリとeディスカバリ
第4章 フォレンジック技術は何ができるか
第5章 eディスカバリの実際
第6章 日本における電子情報と証拠開示
第7章 eディスカバリと内部統制
資 料 関連する連邦民訴規則・連邦証拠規則の仮訳
—–
【著作権は藤村氏に属します】