第264号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人 クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「未来をつくるリーダーシップ開発」
今、私たちを取り巻くあらゆる分野で、過去に類を見ない地球規模での大変化が、猛烈な勢いで起きています。これらの変化は既存の秩序や制度を揺るがし、様々な混乱や摩擦を引き起こしています。そのような中、「これまでのやり方が通用しない」「何とかしなければと思っていても、どうすればいいのかわからない」と、多くの人たちが、組織や社会の閉塞感と自らの無力感や方向感の喪失を感じているのではないのでしょうか。こういった状況を打破し、日本が夢と希望が溢れる人々の社会となるように、私は、未来をつくるリーダーを育てるためのプログラムの開発を始めました。この活動をアンビショナーズ・ラボと名付けていますが、その初回の試みとしてリーダーシップ育成や組織・社会変革、起業に興味のある方々を対象にワークショップを先日、二日間に亘り開催いたしました。今回はワークショップでご紹介した、未来をつくるリーダーシップに必要な「8つの力と4つの価値観」をご紹介しましょう。
未来をつくる8つの力と4つの価値観
<8つの力>
①真の自分を生きる力
リーダーは、多くの人たちが真の自分を生きられるように、使命を見つける手伝いをし、その実現を後押しする力を持つ必要があります。
②心を突き動かすメッセージ発信力
リーダーは、論理的に分かりやすく説明するだけでなく、人々の心に火をつけ、心と心をつなぐメッセージを発信する力が求められます。
③自らの意志で動く強いチームを創る力
リーダーは、夢とビジョンと目標を共有し、自らの意志で目標の達成にコミットしていく強いチームを創る必要があります。
④新しい価値を生みだす対話力
リーダーには、多様な経験や専門性を持つメンバーが<傾聴と内省>を通じて、新しいアイデアを生みだす対話を促す力が求められます。
⑤創造的な問題解決力
リーダーには、ロジカル思考、システム思考、デザイン思考を駆使して創造的に問題を解決する力が求められます。
⑥自ら学び進化する強い組織をつくる力
リーダーには、ビジョンを共有し自ら学び、常に進化する強い組織を築き上げる力が必要です。力が求められます。
⑦学習する力
未来をつくるためには、過去にしばられず、常に新しい見方を手に入れる必要があります。
それゆえリーダーには、好奇心を持ち、異質なものから学び、自らの枠を広げ、成長する力が必要です。
⑧育成する力
リーダーには、人を育成する力が必要です。ありたい姿になるためのチームとしての成長課題を明確にし、伴走者としてメンバー個々の成長を支援するというような育成力が求められます。
<4つの価値観>
①人間の創造力と無限の可能性を信じる
現状の閉塞感を打破し、突破口を開くためには、チームメンバー個々の思考力・発想力の強化や意識改革が必要です。
②他者への共感を大事にする
リーダーは、他者の状況を自分の事のように感じる共感力を持つことが必要です。より良い社会の実現に向けて、頭だけでなく、心も体も使って相手を理解する力が求められます。
③多様性を尊重する
多様性を尊重し、価値あるものとして受け入れる気持ちがなければ、ますますグローバル化する社会ではリーダーとして活躍していくことはできません。
④倫理観を大事にする
リーダーは、自分たちのチームや組織の偏狭な利益だけでなく、社会の善にどのように貢献するかを考慮することが求められます。
本プログラムの設計において土台としたのは、OECDが提唱する21世紀を幸せに生きる力(キー・コンピタンシー)です。若者が、その力を身に付けるためには、周囲の大人たちが実践者である必要があります。多くの実践者を増やし、子どもたちが幸福に生きる力を身に付けることができる国にしたいと思い活動を始めています。
【著作権は熊平氏に属します】