第648号コラム:舟橋 信 理事・資格認定WG 座長(株式会社FRONTEO 取締役)
題:「海外のDF資格認定事例」

昨年9月に第1回「デジタル・フォレンジック・プロフェッショナル認定(CDFP)」基礎資格(CDFP-B)認定試験を実施し、国内におけるデジタル・フォレンンジック(DF)の資格認定を開始しました。本年は実務者資格(CDFP-P)及び管理者資格(CDFP-M)の資格認定に向けて、シラバスを作成したうえで模擬試験を実施し検証を行うことにしております。実務者資格等の認定試験の実施は、来年以降に予定しておりますのでご期待いただければと思います。

本コラムでは、米国のDF資格認定の事例、1昨年のコラムで触れた国際コンピュータ捜査専門家協会の資格認定(CFCE:Certified Forensic Computer Examiner)についてご紹介したいと思います。

同団体は非営利団体で、フォレンンジックに関するトレーニングの提供や専門家の人的ネットワークの構築を促進しています。会員は、正会員(法執行機関及び政府機関関係者)、準会員(身元調査をパスした人物)及び学生会員(認定校に在籍する学生)で構成されています。

CFCEの資格認定は、ピアレビューと認定試験の2段階のプロセスで構成されています。

ピアレビューでは、受験者には4つの実技問題が与えられ、30日以内に終了させることが求められます。また、受験者には学習ポイントを指導するコーチが割り当てられます。4つの実技問題すべてに合格した受験者が、次の認定試験に進みます。

認定試験はハードドライブに関する実技試験及び知識を問う筆記試験で構成されています。

実技試験は、ピアレビュー合格後から問題を開始するまでに7日間、問題を終了するまでに40日間の時間が与えられます。筆記試験は、フォレンンジックに関する知識を問う100問に対して14日間の時間が与えられます。

実技問題及び筆記問題それぞれ80%以上の点数でCFCE資格が与えられます。CFCE資格者の氏名と認定ID番号は同団体のウェブサイトに掲載されます。

CFCE資格は、3年毎に再認定を受ける必要があり、再認定に当たって40時間の継続教育の単位取得が求められます。

CFCEの資格認定試験で特徴的なことは、試験はオンラインで行われており不正行為に対しては倫理綱領により倫理的行動を促していること、実技問題に重点が置かれていること、試験期間が長期に亘ること及びピアレビューでは受験者にコーチが付くことなどです。

IDFの実務者資格認定試験は、上記のような試験方法を取ることが実務上困難ですので、筆記試験で受験者の実務能力が評価できるように工夫したいと思います。

【著作権は、舟橋氏に属します】