「デジタル・フォレンジック優秀若手研究者賞」は、デジタル・フォレンジック研究の活性化を目的として、デジタル・フォレンジックに関する優れた若手研究者を表彰するために、IDF第14期(2017年度)に初めて設けられ、以後、毎年デジタル・フォレンジック・コミュニティの場で表彰式を実施しております。
本年も「第20期デジタル・フォレンジック・コミュニティ2023 in Tokyo」にて、7回目となる表彰式を行います。
最優秀賞:
小西 葉子 様(高知大学 教育研究部 人文社会科学系 教育学部門 助教)
「国家の情報収集活動に関わる自動データ処理の法的課題」
(受賞理由)
刑事手続における自動データ処理による情報収集に関して、国家機関側の利便性向上と、被告人等の関係者の人権保障という二つの側面があることを明らかにし、この分野における立法に対する法的評価の重要性を指摘したこと、これによりデジタル・フォレンジックの普及に向けた検討における視座を広める上での貢献が大きいことから「最優秀賞」とした。
優秀賞:
長谷川 太一 様(東京電機大学大学院 工学研究科 情報通信工学専攻)
「Analyzing Metadata in PDF Files Published by Police Agencies in Japan」
(受賞理由)
警察機関が公開した約十万個のPDFファイルのメタデータを調査し、個人名・組織名・ユーザー名等が多数含まれていることを明らかにし、公開されるPDFファイルの潜在的なセキュリティリスクをフォレンジック分析によって明らかにできる可能性を示したことから「優秀賞」とした。
優秀賞:
木村 悠生 様(立命館大学 大学院情報理工学研究科 情報理工学専攻)
「Onion Service におけるServer Fingerprint の収集及び運用元特定可能性の検討」
(受賞理由)
匿名ネットワーク技術であるTor約四万件のOnion Domainを収集・分析した結果からOnion Serviceを用いたサイトの運用元を特定できる可能性を示した。これはTor技術における犯罪捜査手法に応用できるものであり有用性が高いことから「優秀賞」とした。