コラム第861号:「アメリカ大統領選挙の渦中に情報通信分野の影を追つて」
第861号コラム:西川 徹矢 理事(笠原総合法律事務所 弁護士)
題:「アメリカ大統領選挙の渦中に情報通信分野の影を追って」
昨年は、年間を通して、世界各国の大統領等元首級や重要な国家的懸案を抱えた国の国会議員選挙が例年になく多かった。世界の主立った情勢研究機関が分析した世界情勢の年間の回顧記事でも2024年を「選挙イヤー」と称して、例年になく何度もマスコミで取り上げられ、盛り上がりを見せたと総括している。
中でも、昨年 11 月に任期末を迎え、実施されたアメリカ大統領選挙が最注目の一つであった。前回2020年の選挙当時、現職候補のトランプ大統領と有力候補者のバイデン氏が、激しい選挙戦を繰り広げ、現職を抑えてバイデン氏が勝利を納めた。その後も次期選挙狙いの闘志剥き出しの場面が垣間見られる中で、2024 年に入り現職のバイデン大続領と挑職者のトランプ前大統領との因緑の対決が再開されトランプ民が勝利し、年明け1月に行われたトランプ新大統領の就任式や国民に働きかける政治的パーフォーマンスの場でこれまでに見慣れない変化があり、歴史のーコマとして後世に残るのではないかと感じられるものがあった。
また、この4年前のトランプ対バイデン両候補の選挙職をめぐり駆け巡ったサイバー戦的な特異な動静が一部に強い関心を集めており、この分野からも、今後も複雑な影響を与えかねないと話題になり、かなり早い段階から種々看過できない動きがあり得るのではないかとも報じられ、更にヒートアップされた。
ただ、これらの間題は選挙戦の中段でバイデン大統領の健康上の事情等が強く懸念され、急遽バイデン大統領が選挙戦への立候補を取り止め、後継者に自陣のハリス副大統領が新たに大続領選に出馬することとなった。当然双方の陣営の様相やムードも大きく変わり、選挙戦そのものも、選挙後のトランプ政権との在り方や世界の情勢等の政治的意味合いやそのための闘い方にもそれぞれに大きな変化を受けざるを得なくなった。
今回の選挙を改めて見直してみると、トランプ新大統領の独創的な政治手腕と選挙戦における世界への影響が一層の広がりと注目を浴び、選挙戦での盛り上げから大統領就任後の政治的盛り上げまでを巧みに図り、その中で情報通信技術分野の同業者等がこれまで以上に取り込まれ、政権内での活躍の場が広がりそうにも感じられた。 また、就任式の際にも大統領の周辺に、貢献者グループの一員として、情報通信技術関係の大企業幹部等がやや多く呼ばれたり、 その後も各種行事等に注目度が高まっているようにも感じられた。
今後、世界の情報通信技術分野でトランプ政権は果たしてどのようなスタンスを取り、国際的な情勢の中でどのような舵取りを行い、如何ような打ち出し方をするのであろうか。これはある意味、 我が国も含め世界の情報通信技術関連事業とのコミット振りに大きな変化をもたらすものではないかと思われた。
就任式後のトランプ大統領の新政機については、選挙後の情報通信技術分野やサイバー職基本政策等について、これまでの世界の情勢以上に、我が国の業界筋も今一度かなり広範囲にわたりその動向を改めて読み取り、総力を挙げて適格な対応に徹しなければならないと強く感じた。
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