コラム第871号:「物理的な「場」とバーチャルな「場」」
第871号コラム:石井 徹哉 理事(明治大学法学部専任教授)
題:「物理的な「場」とバーチャルな「場」」
1 最近、報道等でオンラインカジノが取り上げられることが増えてきています。オンラインカジノの関与者を日本の刑法により処罰するためには、犯罪が日本国内でおこなれたこと、「日本国内において罪を犯した」ことを必要とするのが原則です(刑法1条)。これを属地主義といいます。問題は、「日本国内において罪を犯した」とはどのようなことを意味するのか、どのように判断することになるのかということにあります。このことについて、学説もおそらく判例も、いわゆる遍在説との立場をとり、行為者の行為又はその結果のいずれかが日本国内において生じれば足りるという考えをとっているとされます。