コラム第901号:「デジタル・フォレンジック・コミュニティ2025に向けて」

第901号コラム:植草 祐則 理事(株式会社NTTデータ先端技術 セキュリティ&テクノロジーコンサルティング事業本部 シニアスペシャリスト、IDF事務局長)
題:デジタル・フォレンジック・コミュニティ2025に向けて

11月に入ってめっきり涼しくなり、1ヵ月前まであれだけ汗をかいていたとは思えないほど快適に過ごしている、事務局長の植草でございます。

さて、今年も「デジタル・フォレンジック・コミュニティ」の季節が近づいてまいりました。
今年は12月8日(月)12月9日(火)の2日間、品川・ザ・グランドホールにて開催いたします。
本コラムではそのご紹介を兼ね、プログラムを企画した意図の解説も加えて概要をお伝えいたします。

■今年のテーマ:「フェイクとデジタル・フォレンジック」
9月より参加者募集ページにて講師と講演プログラムをご紹介しておりますが、今年は「フェイク」を軸に、技術・法制度・世界情勢の観点から講演を行います。

デジタル・フォレンジック・コミュニティでは毎年テーマを設けていますが、近年は「●●とデジタル・フォレンジック」という形が多くなっています。
(参考:https://digitalforensic.jp/df-com_list/
このテーマ設定には主に二つの意図があります。
一つは「デジタル・フォレンジックが●●にどう対応できるか」、もう一つは「●●がデジタル・フォレンジックにどのような影響を与えるか」という視点です。あるいは「●●でデジタル・フォレンジック」「●●をデジタル・フォレンジック」
といった両面を考慮しています。
今回の「フェイクとデジタル・フォレンジック」では、
 ・フェイクの脅威を識別・検出するためのデジタル・フォレンジック技術
 ・フェイクによってデジタル・フォレンジック結果の真正性が脅かされるリスク
の両面から課題を整理することを考えています。

さらに、時系列的なつながりとして、一昨年のテーマである「AI」はフェイクに関わる主要な技術要素であり、昨年のテーマである経済安全保障や世界情勢も背景として密接に関連しています。
こうした流れを意識して頂くと、今年の講演内容をより立体的に感じることができると思います。

■プログラム概要
2日間の構成は、前述のテーマに基づいた5つの講演と2回の研究会が中心となっています。
各講演では、基調講演のオリジネーター・プロファイルを始めとした技術・法制度・世界情勢それぞれ最新の状況を解説して頂きます。
1日目及び2日目の最後に行われる研究会では、技術面・法制度面それぞれの専門家にご登壇頂き、パネルディスカッション形式で討議を行います。
また、例年同様、
 ・1日目17:15からの交流会
 ・2日目10:00からのDF優秀若手研究者表彰式
などの恒例イベントも開催いたします。
(参考:https://digitalforensic.jp/community-22-2025/

■若手活動WGによる新企画
今年初の試みとして2日目の一部を2トラック構成とし、サブ会場では「ストーンビートセキュリティ株式会社提供 若手活動WGによるCTF」を開催いたします。
このCTFは、第21期より立ち上げられた「若手活動WG」が主体となって企画および運営するもので、トレーニングやイベント開催など精力的に活動してきた成果の一環です。
タイトルの通り冠スポンサーの協力も得る事ができ、今後の発展を期待しています。

更に、コミュニティ全体の運営にも若手メンバーが積極的に参加しています。来場者や講師の皆様との交流を通じて経験を積む機会を提供することを目的としており、1日目の交流会運営も若手にお願いしています。
ご参加の皆様には、若手との交流を通じて若手のアイデアや活気を感じて頂ければ幸いです。

■最後に
「フェイク」というテーマは、デジタル・フォレンジックに限らず私たちの社会や制度、技術の信頼性を根本から問い直す重要な視点です。
ぜひ、会場での議論や交流を通じて新たな気付きと繋がりを得て頂ければと思います。
皆様のご参加・ご来場を心よりお待ちしております!

【著作権は、植草氏に属します】