コラム第881号:「不正被害額と不正取引額」
第881号コラム:松本 隆 理事(株式会社ディー・エヌ・エー IT本部 セキュリティ部 サイバーアナリスト)
題:不正被害額と不正取引額
近年発生した証券口座乗っ取り事案は、その手口の巧妙さと被害の広がりにおいて、従来の金融犯罪とは一線を画すものであった。今回の報道では各社が「不正取引額」や「不正売買額」が「5000億円超」という見出しで伝えており、ネットでは「なぜ異なる被害額を足し合わせるのか」「被害を水増しして報道しているのではないか」といった意見も散見される。私はこの不正取引額や売買額という指標での報道は、一般向けの報道として的外れではないと考えている。ともあれ、「不正被害額」と「不正取引額」について検討するには、今回の証券口座乗っ取り事案における犯罪者の新たな収益化スキームを理解することが重要である。
コラム第879号:「民事訴訟法の準文書に残された録音テープと検証作用」
第879号コラム:櫻庭 信之 理事(弁護士・法曹実務者分科会主査)
題:民事訴訟法の準文書に残された録音テープと検証作用
民法96条1項は、詐欺または強迫(注:条文ママ)による意思表示は取り消せることを定めています。
たとえば、民事裁判で、AがBに脅されて物を不本意に買わされたと主張し、購入時の会話の録音データがAの手元にあったとします。Aは、その反訳書面(録音を文字起こしした文書)を証拠提出し、その書面には、購入直前、Aが「怖いよ。」と発言したことが書かれていました。(実際の紛争はより複雑ですが、理解のため単純化しています。)
