コラム第870号:「翻訳された言葉としてのデジタル・フォレンジック」
第870号コラム:佐々木 良一 理事(東京電機大学 名誉教授 兼 同大学サイバーセキュリティ研究所 客員教授)
題:「翻訳された言葉としてのデジタル・フォレンジック」
本を読んでいて、うまい翻訳語だなと感心したり、翻訳語を作った人たちは苦労したんだろうなとしみじみ思ったりすることがある。
衛生などはSanitaryの訳であろうが名訳である。中国の思想家、荘子の庚桑楚篇に登場する『衛生』という言葉を「生命を衛る」という意味で行政用語として用いたものであるようだ。この使用を明治政府に具申したのは長與専斎であるといわれている。類似の翻訳語として、衛星がある。Satelliteの訳で何かを衛る星という意味だろう。衛星も衛生もなかなかの名訳だと思う。