コラム第903号:「スマートフォンのデジタル・フォレンジックに関する分科会の報告」
第903号コラム:櫻庭 信之 理事(第一東京弁護士会 弁護士)
題:スマートフォンのデジタル・フォレンジックに関する分科会の報告
ここ数年、不祥事を調査した委員会の認定を裁判所が覆した判決や、第三者委員会の調査判断等も第三者委員会委員の不法行為となりうるとした判決などの民事裁判が注目されています。(中略)
重要証拠のフォレンジック対象は、以前は職場のPCに比重がありましたが、近時、事案によってはスマートフォンが重要証拠の保管元となるケースが増えています。そこで、本(2025)年7月3日開催のIDF法曹実務者分科会(第22期第2回)では、iPhoneを中心に、民間向けのスマートフォン・フォレンジックについて解説いただきました。その内容は分科会参加者以外にも広く共有されるのが有益と思料されたことから、一部ですが、本コラムで紹介する次第です。
コラム第902号:「フランス破毀院のAI戦略」
第902号コラム:町村 泰貴 理事(成城大学 法学部 教授)
題:フランス破毀院のAI戦略
フランスを初めとするヨーロッパでは、AIについてやや後ろ向きというか、アメリカに比べると出遅れていて、むしろ規制する方向に力を入れているという印象もあるかもしれない。
しかしヨーロッパと一括りにするのは解像度が低すぎる。ここで取り上げるフランスは、情報通信技術を取り入れることに極めて好意的であり、私が専門とする司法の分野でもIT利用に前のめりであった。オンライン申立ては既に10年以上前から実装化され、AIと司法に関する議論もJustice prédictiveという名称の下で盛んに行われている。そして裁判所の判決のオープンデータ化については、日本の立法に数年先立って法制化され、現在では民事刑事の最高裁判所である破毀院と行政の最高裁判所であるコンセイユ・デタ(国務院とか国家評議会と訳されることもある)とがそれぞれ過去分も含めた全判決のオープンデータ化を進めて公開している。
