第21期
コラム第822号:「日本の人口減少問題について」
第822号コラム: 伊藤 一泰 理事(富士インフォックス・ネット株式会社) 題:「日本の人口減少問題について」 1.日本の総人口減少問題 戦後、日本の総人口は増加を続け、1967年には初めて1億人を超えたが、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じた。国立社会保障・人口問題研究所によると、今後ますます減少が進んでいくものと推計される。すなわち、総人口は、2020年の国勢調査による1億 2,615万人が 2056年には 1億人を割って9,965万人となり、2070年には8,700万人になるという。2020年の69.0%まで減少してしまう。しかも総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は、2020年の28.6%から2070年には38.7%へと大きく上昇する。
コラム第821号:「侮辱罪の重罰化は意味があるのか」
第821号コラム: 石井 徹哉 理事(明治大学法学部 専任教授) 題:「侮辱罪の重罰化は意味があるのか」 町長室で性交渉を強要されたとの虚偽の事実が拡散され、さらには町自体が「セカンドレイプの町」と中傷される事態にいった事件があります。最近、当事者である町長が取材に応じた記事が掲載されました。(中略)この事件に関する諸問題は、多岐にわたりますが、侮辱罪の法定刑の引上げとの関連で些少の思いつきを述べたいと思います。
コラム第820号:「金融機関へのサイバー攻撃とデジタル・フォレンジックの利活用」
第820号コラム: 安冨 潔 理事(慶應義塾大学名誉教授 弁護士 金融情報システムセンター評議員) 題:「金融機関へのサイバー攻撃とデジタル・フォレンジックの利活用」 急速なデジタルトランスフォーメーションに伴い、情報通信技術は、今日の社会にとってのビジネスだけでなく我々の日常生活に不可欠なインフラ・ストラクチュアとしての役割を担っています。ことにネットワーク技術の進展や高度通信を提供する技術開発により新たなビジネスモデルやサービスが登場してきています。他面、IoTの進展により、多様なデバイスがネットワークに接続されることに伴い、ネットワークの管理とセキュリティに新たな課題が生じています。また、近年.重要インフラなどに対する巧妙なサイバー攻撃もあとを絶ちません。
コラム第819号:「サイバー空間の地政学リスクについて考える」
第819号コラム: 佐々木良一 理事兼顧問(東京電機大学 名誉教授・サイバーセキュリティ研究所 客員教授) ) 題:「サイバー空間の地政学リスクについて考える」 1.はじめに 近年「地政学」という言葉が良く使われるようになった。地政学(Geopolitics)とはwikipediaによると「国際政治を考察するにあたって、その地理的条件を重視する学問である」とされている。すなわち地政学は、地理的な要素(例えば、地形、気候、資源、交通路など)が国家の外交政策、安全保障政策、経済政策に及ぼす影響を分析し、理解することを目的としているようである。 地政学は、米中の対立やロシアのウクライナ侵攻の原因をうまく説明するのに有効であるという高い評価がある一方、学の名前に値しないエセ科学であるとか、地政学という概念を使わなくとも同様の説明は可能であるといった批判もある。
コラム第818号:「3層公開鍵の提案 - 本人・本モノ確認の信頼性向上に向けて」
第818号コラム: 辻井 重男 理事(中央大学 研究開発機構 機構フェロー・機構教授) 題:「3層公開鍵の提案 - 本人・本モノ確認の信頼性向上に向けて」 4千年とも言われる暗号の歴史上、コンピュータの普及に対応すべく、1970年代、革命が起きた。公開鍵暗号の数学的発明である。 公開鍵暗号は火薬の発明に匹敵? 未だに、暗号と言えば、秘匿用途のみが多くの人々の念頭 にあるようだ。ある科学史の本に、公開鍵暗号は火薬の発明にも匹敵する程の歴史的発明と書かれているそうだが、物理、化学や生物学分野の発明は、直観的に理解されやすいが、数学的発明は馴染み難い。