第415号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 代表理事)
題:「21世紀の学び方」
2014年に未来教育会議を立ち上げ、教育を変える活動に取り組んでいます。未来教育会議では、2年に亘り、シナリオプランニングという手法を使い、教育と社会の未来シナリオの作成に取り組みました。その結果、明らかになったことは、画一的な既存の学校教育では複雑で変化のスピードの激しい21世紀を生きる準備ができないという危機感を覚えるようになりました。そこで、ニッポンの「学ぶ力」を変える活動を始めました。
21世紀は変化の時代。前例を踏襲し続けていくだけでは、明るい未来は実現できません。世界では、この変化をプラスに捉え、社会課題を解決するようなイノベーションを生み出す人や組織が次々と生まれています。
しかし、日本の社会には、このような人や組織はなかなか現れません。その理由は、正解があることを前提としたニッポンの教育にありました。正解を導く方法を学び、それを反復し覚えていく受動的な教育。そこには創造性育む要素はありません。変わりゆく時代の中で、変わることのできない人を育ててきた教育プログラムを、私たちは変えていきたいと思います。
そのために、まずは大人が変わること。中でも企業で部下を育てる管理職やマネージャーといった立場の人は、家庭では子どもを育てる親でもあります。企業の育成力を家庭でも応用し子どもを変える、家庭での変化は学校への変化につながり、やがて社会全体の変化となります。これらを「企業から始まる教育のエコシステム」と位置づけ、株式会社ネクストの井上社長、品川女子学院の漆校長とともに、21世紀学び研究所を立ち上げることにしました。
21世紀学び研究所では、イノベーションを生み出す“ベース”を鍛える教育プログラム「OS21」で、大人の「学ぶ力」を変えていきます。これまでの固定観念を壊し、柔軟な思考と能動的な学びの姿勢を育てる5つの「学ぶ力」によって、ビジネスパーソンの変化推進力やイノベーション力も高まります。
OS21 5つの「学ぶ力」とは、1.動機の源、2.認知、3.リフレクション、4. 対話、5. 多様性です。これに加えて、学びの環境を創り、学び手の「OS21」を育成する力も学びます。
OS21 5つの「学ぶ力」動機の源:大切にしている価値観や信念をモチベーションに変える
認知:自分の枠を超え、新たな気づきを得る
リフレクション:自分の経験を内省し、成功の法則を貯めていく
多様性:「違い」を尊重し、優劣をつけない
対話:自分の考えを内省し、他者の考えに共感する
このような個人の変化が他者の変化や成長を促し、組織の学ぶ力が高まります。この「大人の変化」を、会社や家庭、学校へと広げることで、創造と自発的な学習が日本中に広まることを期待しています。ニッポンの「学ぶ力」を皆さんと一緒に育んで行きたいと思います。ぜひ、教育のエコシステム創りにご参加ください!
【著作権は、熊平氏に属します】