第21期
コラム第836号:「劇場型サイバー攻撃とSNSがもたらす企業への致命的なダメージ」
第836号コラム:松本 隆 理事(株式会社ディー・エヌ・エー IT本部 セキュリティ部 サイバーアナリスト) 題:「劇場型サイバー攻撃とSNSがもたらす企業への致命的なダメージ」 2024年6月27日及び7月1日(日本時間7月2日)にランサムアクターBLACK SUITによってダークウェブ上に公開された株式会社ドワンゴから窃取された個人情報を含むデータは当のアクターの手を離れ、日本の悪質なネットユーザーによって様々なオンラインストレージ上にクローンが作成され、いまも拡散され続けている。
コラム第835号:「「民事判決情報データベース化検討会報告書」がまとまる」
第835号コラム:町村 泰貴 理事((成城大学 法学部 教授) 題:「「民事判決情報データベース化検討会報告書」がまとまる」 このコラム欄でたびたび紹介してきたように、法務省の民事判決情報データベース化検討会が2022年10月以来重ねてきた検討結果が報告書として公表された。 https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi09900001_00004.html 裁判所の判決は、法を解釈適用した結果であるから、その内容は法そのものの具体的な内容といっても過言ではなく、国民主権の原理から考えればその全てが主権者たる国民に公開されて然るべきものであった。その意味で、裁判所が先例的価値ありと判断したものだけを公開するという現在のやり方から、少なくとも民事判決に関しては原則として全件を公開するという方針に転換した今回の報告書は、国民主権の実質にかなった画期的なものと評価することができる。
コラム第834号:「史上最大規模の暗号資産流出事件と組織的犯罪処罰法」
第834号コラム:北條 孝佳 理事(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー 弁護士) 題:「史上最大規模の暗号資産流出事件と組織的犯罪処罰法」 1 はじめに これを読まれる方の大半は、2018年に発生した史上最大規模の約580億円相当の暗号資産が流出した事件(以下「暗号資産流出事件」という。)をご存じであろう。この事件の犯人は捕まっていないが、関連する取引を実行した複数人が摘発され、1件は最高裁で有罪が確定し、少なくとも2件は2024年7月末時点で裁判中である。この裁判の争点の一つは、サイバー犯罪特有の国外が絡む問題であるため紹介する。
コラム第833号:「~ 防衛庁(省)・自衛隊の発足70周年記念日を経て ~ 気になったこと~ 毎日の変化と「新たな伝統」に向けて」
第833号コラム:西川 徹矢 理事(笠原総合法律事務所 弁護士) 題:「 ~ 防衛庁(省)・自衛隊の発足70周年記念日を経て ~ 気になったこと~ 毎日の変化と「新たな伝統」に向けて」 7月1日 防衛庁(省)・自衛隊の発足70周年記念日を迎えた。所要があり式典そのものには参加できなかったが、防衛庁に席を置いた者として、関心をもってマスコミ紙等の報道記事を追った。
コラム第832号:「昨今の組織内の不祥事と”Broken Windows”」
第832号コラム:舟橋 信 理事(株式会社FRONTEO 取締役) 題:「昨今の組織内の不祥事と”Broken Windows”」 ”Broken Windows”と言う言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。警察関係者には、ご存じの方も多いのではないかと思います。 ”Broken Windows”は、ハーバード大学教授のジェームズ・ウィルソンとジョン・F・ケネディ行政大学院リサーチフェローのジョージ・ケリングが、月刊誌「アトランティック・マンスリー」の1982年3月号に発表した論文のタイトルで、サブタイトルは”The police and neighborhood safety”です。国内では「割れ窓理論」などとして知られております。 同理論は、建物の割れた窓を放置しておくと、通行人が誰も気にしないと考え、さらに壊され、その周りの環境が急速に悪化し、さらなる犯罪や無秩序が広がるというものです。つまり、小さな違反行為や無秩序を放置すると、それが社会全体の治安や秩序の悪化につながるとされています。