第670号コラム:「暗号の安全性と量子ストリーム暗号―Y00をご存じですか」
第670号コラム:辻井 重男 理事・顧問(中央大学 研究開発機構 機構フェロー・機構教授)
初めに ― 本文で訴えたいこと どの専門分野も分かり難いものですが、現代暗号もその一つです。「量子コンピュータが実用化されると、現在、社会基盤となっている暗号が解読されてしまう」という話題が、新聞などのメディアを賑わわせていますが、暗号に関わる方に誤解されるような記述もありますので、簡単に全体像を描いてみたいと思います。素人にも分かり易く、初歩的なことから説明します。
Ⅰ. 暗号の目的・用途と方式 暗号の用途から簡単に説明しましょう。暗号は常に社会的要請から生まれています。数千年の昔から1970年頃まで、暗号と言えば、送りたい情報を秘匿するのが目的でした。用途は、主に軍事や外交でした。
第667号コラム:「副会長就任にあたり」
第667号コラム:湯淺 墾道 副会長(明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科 教授)
前回、新会長の上原先生執筆のメルマガで会長ご就任にあたっての抱負などが配信されましたが、それに引き続き「副会長就任にあたり」と題しましてコラムを執筆しようと思います。デジタル・フォレンジック研究会は2004年に設立され、まもなく20周年を迎えることになります。この間、デジタル・フォレンジックを取り巻く環境も大きく変化し、会員の皆様や関係者の皆様のご尽力により、デジタル・フォレンジックそれ自体への社会的認知も大きく向上しました。新聞記事でも、この数年、「デジタルフォレンジック(電子鑑識)」という語が注釈なしで用いられるようになりました。