コラム
コラム第814号:「生成系AI前夜までの著作権議論をまとめる~その2:文化庁報告書を読んで~」
第814号コラム: 須川 賢洋 理事(新潟大学大学院 現代社会文化研究科・法学部 助教) 題:「生成系AI前夜までの著作権議論をまとめる~その2:文化庁報告書を読んで~」 前回778号(https://digitalforensic.jp/2023/07/17/column778/)の続きとして、生成系AIの著作権問題についてもう少し解説してみたい。と言っても今回は私見ではなく、著作権の管轄官庁である文化庁の見解を紹介したい。前回、コンピュータ創作物に関する報告書は平成5年(2003年)という大昔に出されたものである紹介したが、この度、文化審議会著作権分科会が『AIと著作権に関する考え方(素案)』という報告書案を出した。パブリックコメントを令和6年(2024年)1月23日~2月12日に募集し、それを踏まえて加筆修正したものが『AIと著作権に関する考え方について(素案)(令和6年2月29日時点版)』https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_07/pdf/94011401_02.pdf として、本稿執筆時点の最新版として公開されている。
コラム第813号:「安全管理に偏った個人情報保護委員会の事故報告義務」
第813号コラム:佐藤 慶浩理事 (オフィス四々十六 代表) 題:「安全管理に偏った個人情報保護委員会の事故報告義務」 表題のことは以前から薄々気になっていたのですが、今回は、個人情報を本人に無断で第三者に提供している事業者がいたので、事業者に連絡したところ問題ないと主張されたのがきっかけで調べたことを紹介します。
コラム第812号:「続:コミュニケーションとセキュリティ」
第812号コラム:宮坂 肇 理事(NTTデータ先端技術株式会社 サイバーセキュリティ事業本部 Principal Scientist) 題:「続:コミュニケーションとセキュリティ」 2020年4月には新型コロナウイルス感染症(COVIT-19)の緊急事態宣言が発出されてから4年となる。この当時はなるべく人との接触を避け、感染拡大を防止するため企業等はリモートワークによる在宅勤務などの対策が行われた。昨年2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上5類に位置付けられ、行政からの要請や関与などの仕組みから、国民の自主的な取り組みに対応が変わった。生活様式も変化してきており、通勤や通学なども徐々に緩和されており、いま現在だと通勤・通学電車などの乗車率はほぼコロナ前に戻りつつある。企業等はリモートワークをすべてやめるのでなく、リモート勤務とオフィス勤務を併存する(以下、ハイブリッド型)など、コロナ前と働き方が変容している。働き方や環境が併存しているなか従来と異なる課題などが生じている。 本コラムでは現在の併存環境においてのセキュリティに関連するコミュニケーションについて考えてみたい。
コラム第811号:「経済安全保障に関する変化」
第811号コラム:守本 正宏 理事(株式会社FRONTEO代表取締役社長) 題:「経済安全保障に関する変化」 米中の対立がますます深まる中、日本の自律性、不可欠性を確保するうえで経済安全保障戦略の策定は非常に重要です。米国では、2018年8月に施行された国防授権法2019で輸出管理改革法(ECRA)と外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)が規定され、それに呼応するように中国でも2021年6月に反外国制裁法、同年11月に個人情報保護法が施行されました。
コラム第810号:「2024年 大感動」
第810号コラム:西川 徹矢 理事(笠原総合法律事務所 弁護士) 題:「2024年 大感動」 私は、ここ10数年来、松の内の1月10日前後に、企業幹部や関係団体等の親しい方々10人余りと小宴を囲みながら、「旧年を省み、新年を語る」場を設け、初春のひと時を楽しく過ごしてきました。ところが、今年は、元日に能登地震が発生し、そのうえ翌2日に羽田空港旅客機事故が発生し、正月気分が一気に吹き飛びました。地震に関しては、発生直後に報ぜられた被害情報が少な目だったためか、我が国の震度観測史上第7番目の震度7の被害とは言いながらも、公共施設や民間施設等の実際の財産的な被害報道の割には、やや人的な被害が少ないように感じられました。