第789号コラム:丸谷 俊博 理事(IDF事務局)
題:「IDF講習会、DF資格認定試験及びコミュニティ2023について 

 長かった猛暑続きもやっとおさまり秋の到来を感じさせてくれるようになりました。IDF事務局は、5月の第20期総会で承認された植草祐則理事の就任とその後の理事会で丸谷の後任の事務局長への承認に基づき事務局運営体制を移行中です。また4月からの新たなパート事務員の青島さん、伊藤さんの合計4名(丸谷を含む)が勤務する体制で運営しています。尚、事務局業務の引き継ぎは第20期末となる来年の2024年3月末まで継続致します。
 さて、コロナ制限も終了したことからIDFの諸活動も徐々にコロナ禍以前の<参会方針>での実施を増やしてゆく方針ですが、コロナ禍対応で定着した<オンライン方式>も併用する形態での開催要領で実施して参ります。本コラムでは、9月に終了した第13回IDF講習会、第6回DF基礎資格認定試験、第2回DF実務者資格認定試験、そして参加受付中のコミュニティ2023について報告させて頂きます。

1 第13回IDF講習会
既に毎年の恒例IDFイベントとして定着しており官民からの受講者に好評を博して来ておりますが今年の企画・運営で特徴が出て来た2点について報告致します。まず1点目は、今年も通常コース、簡易トレーニングコース共にIDF役員及び団体会員企業のご協力でコース(プログラム)編成を行いましたが、諸物価や人件費等の高騰を背景としてこれまでの受講価格では実施が厳しくなっている実態があり、今年はコースを設けなかったり実施数を減らして実施する等の変化がありました。実際に一部の実施企業には無理を言って(実施すると実際は赤字)実施して頂いたコースも御座います。このため来期第21期実施の第14回IDF講習会では、受講申込期限迄に最低催行者数に達しないコースを実施取り止めにしたり、受講費を値上げする等の対策を検討して開催することになりそうです。2点目は、ここ数年、受講者の比率が官公庁の方が多く、会員や一般の方の比率が下がっています。これは、IDFとしての対外的な広報不足が最も大きい要因だと考えますので、IDF役員及び会員各位のご協力を賜って社会の広い範囲へ広報先の拡大を図ることが必要と考えます。このため会員各位からの広報拡大に関するご提案や手段のご教示を賜れれば幸いです。また、コースの企画編成において、講習会のスタート草創期のようにIDF役員他が講義担当するコースや会員及び会員企業の現場で活躍しておられる方の講義を増やしDFの最新情報や現場での状況をお伝えすることができるような内容としてゆくことが課題と考えています。

2 第6回DF基礎資格認定試験、第2回DF実務者資格認定試験
DF資格試験は、基礎資格認定試験を毎年9月と翌年2月の2回、実務者資格認定試験を毎年9月に1回実施することが今期で定着できたと考えます。尚、管理者資格認定試験については、今期第20期は受験対象者像の具体化をより詰めた上で問題の作成や合格ラインの検討、資格維持に必要なポイント対象等の検討を進め、来期第21期に模擬試験を実施して本番試験の実施へと運ぶ計画で「DF資格認定」WGで検討を継続してゆきます。DF基礎資格認定の合格者数は、今回の第6回試験迄で計597名となり、DF実務者資格認定の合格者は、今回の第2回試験迄で50名となりました。尚、DF基礎資格認定は、DF技術者(またはDFを認知している方)の拡大に重点を置いている資格であり、DF実務者資格認定は、社会の官民の現場で認められるDFの実力を持つ方を認定することに重点を置いている資格で、受験するためにはDF基礎資格認定を取得していることが条件となっています。これまでのDF実務者資格の取得者は、いずれの方も官民の現場で活躍されておられる方々でありIDFとしてこの資格付与は適切で社会からも評価して頂けるとの認識を持っております。既にDF基礎資格を取得された方には、是非DF実務者資格の取得に挑戦して頂きたいと思います。今後のDF資格試験の最大の課題は、受験者数を如何に増やすかで、こちらもIDF役員及び会員各位のご協力を賜って社会の広い範囲へ広報先の拡大を図ることが必要と考えます。会員の皆様からも受験者数を増やす方策についてご提案が御座いましたら是非ともご教示をお願い致します。

3 デジタル・フォレンジック・コミュニティ2023
12/4(月)、12/5(火)に開催するコミュニティ2023は、<参会方式>での実施に復帰致しました。コロナ禍対策で実施した<WEB視聴参加>の併用は行いません。また、12/4(月)の講演会後に実施する交流会も復活致しますので講師、IDF役員及び参加者各位相互の交流を深める機会として活用して頂きたいと思います。今回の全体テーマは、「AIとデジタル・フォレンジック-進化する技術と課題-」です。皆様も感じておられるように広範で益々浸透速度が速まっているデジタル技術の普及により、日々増加するデジタル犯罪や不正行為も増大しており、これに対応するためにはデジタル・フォレンジック(DF)が一層重要となってきています。このような状況下でAI技術を用いることは必須の趨勢で、その活用によりDF調査や解析は、効率性や精度の向上等が期待されています。しかしながら、AIを用いたDFには、法の対応という課題や技術的課題、倫理的問題が存在するため本コミュニティでは、AIを活用したDFの進化に関する最新の研究報告やDFにおけるAIの課題や限界について、専門家による講演やディスカッションを通じて議論し今後の展望を探ることに致しました。尚、コミュニティは、IDF会員以外の官民の一般の方々も参加できますので皆様の知己や関係先にもご紹介下さいますようお願い致します。

第1日目12/4(月)の講師は、大橋一夫様(警察庁 長官官房審議官 サイバー警察局担当)「デジタル社会におけるサイバー空間の脅威への対応」、守本正宏様((株)FRONTEO 代表取締役社長、IDF理事)「AIとデジタル・フォレンジック」、石黒浩様
(大阪大学 基礎工学研究科 教授、AVITA(株)代表取締役 CEO)「アバターと未来社会」、その後、「研究会1」テーマ:「生成AIなどの先進技術を活用したサイバー脅威分析」を座長:名和利男様((株)サイバーディフェンス研究所 専務理事/上級分析官、IDF理事)、パネリスト:渡邊浩志様(台湾国立交通大学 教授)「サイバーフィジカルネットワークにおける三権分立- IoTにおける分散システム(ブロックチェーン)と中央管理の共存について-」、政本憲蔵様((株)マクニカ セキュリティ研究センター センター長)「生成AI時代の攻防オペレーションの変遷」、田篭照博様(NRIセキュアテクノロジーズ(株)研究開発センター サービス開発推進部)「AI Red Teamに挑むための技術者のマインドセット」となっています。

第2日目12/5(火)の講師は、江原悠介様(PwCあらた有限責任監査法人、システム・プロセス・アシュアランス部 ディレクター、IDF理事)「医療×AIについて、<守り>としてのサイバーセキュリティから考える」、尾崎愛美様(国立大学法人筑波大学 ビジネスサイエンス系 准教授、IDF「法務・監査分科会」主査)「SNS捜査とAI」、その後、「研究会2」テーマ「AI利活用の実態と悪用対策・利用適正化」を座長:尾崎愛美様、パネリスト:越前功様(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)「インフォデミック時代におけるフェイクメディア克服の最前線」、齋藤孝道様(明治大学大学院 理工学研究科 教授)「サイバー空間を中心とした影響力工作の国内概況について」、恩賀一様(総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報流通適正化推進室)「偽・誤情報への対応に関する現状と課題」となっています。

12/4(月)及び12/5(火)の各講演の概要は、下記のコミュニティ2023メルマガ第2号及び第3号をご参照下さい。

※コミュニティ2023パンフレット:
   https://digitalforensic.jp/wp-content/uploads/2023/09/community2023panf2-3.pdf
第1日目12/4(月)内容:コミュニティメルマガ第2号
     https://digitalforensic.jp/2023/09/20/community2023-mailmaga2/
第2日目12/5(火)内容:コミュニティメルマガ第3号 
     https://digitalforensic.jp/2023/09/26/community2023-mailmaga3/

4 その他
IDF活動は、第19期からの独立収支運営への移行から1年半が経過し、諸経費の支出を抑制しながらも第18期、第19期に会員の皆様から賜りました寄付のお陰様を持ちまして財務的な安定運営に向けて努力を続けております。今期第20期からは値上げさせて頂きました年会費を運営基盤の主資金として参りますが個人及び団体会員の入会拡大も併せて図ってゆかねばならないことからIDF活動の社会のより広い範囲への広報拡大を図るために会員の皆様の知己や関係先へのご紹介をお願いすると共に広報拡大に関するご提案が御座いましたら是非ともご教示をお願い致します。

では、引き続き第20期のIDF活動へのご参加、ご支援を何卒宜しくお願い致します。

【著作権は、丸谷氏に属します】