第329号コラム:丸谷 俊博 理事・事務局長(株式会社フォーカスシステムズ
新規事業推進室 室長)
題:「IDF講習会を終えて、コミュニティ2014へ向けて」

早いもので今期第11期も上半期がもうすぐ終わる時期となってしまいました。第11期IDF活動は、お陰様で年度計画で示した各分科会活動(新設分科会を含む)やWG活動、IDF講習会等を順次開催してくることができました。役員、会員、オブザーバー各位のご支援、ご参加に感謝申し上げます。尚、コミュニティ2014の開催案内と参加受付が例年より1週間遅れとなりましたこと、9/11(木)、12(金)での第4回IDF講習会において開催1週間前の時点でIDF講習会開催趣旨に反する実施社が発生し、2コースを中止とする仕儀となり、参加申込者各位にご迷惑をお掛けした点につきましては、IDF事務局の推進・調整要領が不十分だったと反省しており会員各位に事務局長としてお詫び申し上げます。
さて、今回のコラムですが表題に示しましたように「IDF講習会を終えて、コミュニティ2014へ向けて」を記述させて頂きます。

1 第4回IDF講習会を終えて

9/11(木)、12(金)の2日間開催致しました第4回IDF講習会は、通常コース(3時間枠)の他に初めて実機、実ソフトを触る簡易トレーニング(1日)を設けました。今回の参加者は、官公庁等の現場でデジタル・フォレンジック実務関係者が多くなってきていることを反映し、過去3回よりも官公庁からの参加者が増加致しました。また、大学等の研究者や監査法人、企業等からの参加者も実務的にデジタル・フォレンジックに関係している方々が増えました。このことは、情報収集も兼ねて参加される方が多かった過去の状況から現在は、現場や職場でより役立つ最新情報や製品・技術等の適用・使用方法等を求めて参加される傾向が顕著になってきたことの表れであると感じております。アンケートは現在整理中ですが、例年同様に、Q:IDF講習会は次回も実施して欲しいか?、に対しては、回答者延べ151名のうち、146名が実施して欲しいと回答し、回数も年1回(64名)以外に年2回(44名)の希望者がありました。また、各実施コースの評価も大半の方が“非常に有益だった”との回答となっており主催者側としては所期の目的を達成できたと考えております。

今後の課題としては、今回のコース引受企業以外の会員が求める製品や機材を有する(取り扱う)団体企業の引受が漏れているところも多い現状をどの様に打開してゆくかがあります。元々参加費は会場・機材の借用料や配布資料作成代等の運営経費分であり、各コース引受各社も自社人員・機材等の経費は自社負担のためボランティア的にIDF講習会実施コースをお引受頂いているためIDF事務局からも団体企業会員を勧誘しても、引受可否は各社の判断となってしまいます。その他、各コースには、初級、中級等と区分を示しておりますが、それらの区分をどの様に判断して具体的に受講者へ示すことができるか、そして参加者から次回に向けて要望された内容をどの様に具体的に反映してゆくか等、IDFとして検討と具体的解決策を図る事項が多くあります。今後、逐次検討を進めて参ります。
最後に第4回IDF講習会にご参加下さいました会員各位と各コースの実施をお引受下さいました各社の関係者に厚く御礼申し上げます。どうも有り難う御座いました。

2 デジタル・フォレンジック・コミュニティ2014開催へ向けて

第11回目となる今回のコミュニティ2014は、昨年の第10回と同様にグランドヒル市ヶ谷で12/8(月)、12/9(火)に会場規模も拡大して開催致します。コミュニティのテーマにつきましては、「ビッグデータ時代のデジタル・フォレンジック-予兆把握、自動処理に向けて-」としました。昨今は、フォレンジック調査やe-Discovery等も大量のデータを扱わざるを得なくなっており、証拠保全や解析が難しくなっているだけでなくクラウドやSSDといった新技術基盤における証拠保全のあり方等も検討する必要が出てきております。もはや熟練者と言えども人力に頼る調査は物理的に不可能となっているためそれらを処理する論理的・人工知能的な専用の支援ソフト等が必要となってくることから事後対応だけでなくフォレンジックにも予兆把握や自動処理迄を範囲に捉えておく必要があるということから今回のテーマを設定致しました。また、技術面だけでなく法律面でも、クラウド時代のデータ処理に起因する諸問題は早急に整理しておく必要が出てきていることは論を待ちません。

プログラム編成としては、①基調講演1(上原哲太郎先生)②基調講演2(林紘一郎先生)③省庁講演(警察庁)④研究会1(座長:名和利男理事)⑤招待講演(DELL谷口浩様)⑥海外事例報告(オラクル 下道高志様)⑦研究会2(座長:佐藤慶浩理事)⑧研究会3(座長:佐々木良一会長)の構成としました。各講師の演題や内容については、コミュニティのホームページをご覧下さい。また、その内容や講師紹介につきましては、逐次発信するコミュニティメルマガにてご紹介致します。

このコラムでは、各研究会について簡単に触れておきます。「研究会1」では2020年東京オリンピック等を見据えて「デジタル依存された大規模イベントにおけるサイバーリスクへの対応」をテーマとして上村昌博経済産業省情報セキュリティ政策室長、野本靖之警察庁高度情報技術解析センター所長、ロンドンオリンピックでの豊富な経験をお持ちのフィリップ・モリス様(British Telecom Japan CTO)、日本電気セキュリティ技術センターの谷川哲司様により名和座長の元でテーマに沿った議論を展開して頂きます。「研究会2」では、「ビックデータによる法制度への影響」をテーマに安冨潔IDF副会長、警察庁に今年新設されましたサイバーセキュリティ担当参事官の岡部正勝様により佐藤座長と共に最近の法制度整備状況に関する報告と討議を行います。「研究会3」では、IDFにおいて今春から検討を進め来年度から東京電機大学大学院に新設される予定の「デジタル・フォレンジック人材育成カリキュラム」の内容や今後、各大学や官民の人材育成機関・組織でどの様なデジタル・フォレンジックに関するカリキュラムを整備してゆくべきなのか等について佐々木会長を座長として、この検討を進めてきたIDF関係者をパネリストに迎えて説明と討議を行います。これらの3つの研究会は、割当時間は限られますが内容的には充実したものとなるはずです。本来は、それぞれ独立した企画として実施することも可能ですが、コミュニティの場でIDFがこれらの方向で今後、検討、研究等を進めて行こうとしていることを感じて頂き、会員やオブザーバーの方々にこれらの活動に参加して頂くためのきっかけとなればと考えております。
会員各位のデジタル・フォレンジック・コミュニティ2014への参加申込をお待ち申し上げます。

※デジタル・フォレンジック・コミュニティ2014紹介URL
https://digitalforensic.jp/home/community-11-2014/

3 その他

(1)「改訂版デジタル・フォレンジック事典」を販売中です。IDF会員は20%割引、新規入会者は25%割引で購入できますので新規入会者の勧誘もご支援下さい。尚、「割引注文書」は、IDF事務( office@digitalforensic.jp )にご連絡頂ければご提供致します。

(2)「証拠保全ガイドライン」第4版
9月に公開予定でしたが作業が遅れております。12月のコミュニティ2014開催迄には公開する予定です。

(3)今期新設致しました「日本語処理解析性能評価」分科会、「データ消去」分科会は、7月末迄に参加申込をして頂いた会員、オブザーバーによりクローズドの検討会を逐次実施しております。それぞれ第11期末となる3月に活動成果を会員の皆様に報告する予定です。今期での参加を希望される方はIDF事務局へご連絡下さい。

(4)人材育成に関する分科会を12月のコミュニティ2014「研究会3」の実施後、年明けから編成する予定です。
その時期となりましたらお知らせ致します。

では、今後もIDFの諸活動へのご参加や意見提示等を宜しくお願い致します。

【著作権は、丸谷氏に属します】