第483号コラム:舟橋 信 理事
(株式会社FRONTEO 取締役、株式会社セキュリティ工学研究所 取締役、 一般社団法人日本画像認識協会 理事)
題:「最近の画像フォレンジックの話題」

本年5月11日に発信したコラム第462号「防犯カメラとデジタル・フォレンジック、プライバシー影響評価について」により、防犯カメラを設置する際の個人情報保護の観点から配慮すべき事項及び個人情報としての顔画像などの流出リスクの低減を図るために日本画像認識協会にて進めているプライバシー影響評価手法の調査研究状況についてご紹介した。

今回はその続きとして、9月25日に開催した日本画像認識協会のセミナーから、二つの話題をご紹介したい。

最近の犯罪の特徴として、常習化及び狡猾化が挙げられる。その中で、指紋やDNA、移動の痕跡などを残さない。また、検挙されても完全黙秘を貫くなど捜査の困難性がましている。このような状況への対処の一つとして防犯カメラ映像の物的証拠化が重要になってきている。また、裁判員裁判において、裁判員への説明は客観化、定量化、普遍化及び常識化が求められることから、画像鑑定においても留意すべきである。

防犯カメラ映像の鑑定は、一つひとつのカメラ毎に実施している。容疑者の逃走経路などの解明には、複数の防犯カメラ映像を複数の捜査員が分担して閲覧し確認することとなる。複数の防犯カメラをネットワーク化して、それらの映像を画像処理し、被写体の人物の属性情報と位置情報を付加して複数のカメラ間で連携し、特定人物の移動を把握する画像処理技術として「AVATAARA」の研究開発を進めている。

防犯カメラの多目的利用、すなわち、集客施設の混雑状況の把握、災害時の避難誘導、マーケティング、地域の見守りなどに活用するため、以下の技術を実現している。

(1) プライバシー保護(被写体の人物を3Dのアバターに置き換えて匿名化を図る。)
(2) 複数のカメラ間を移動する人物のリアルタイム追跡
(3) 複数のカメラを用いた俯瞰表現

俯瞰表現については、複数のカメラが設置されている公共空間の群衆の状況などを一目で把握でき、オリンピック開催時の警備対策や、大規模災害時の避難誘導などに有用な技術である。

【著作権は、舟橋氏に属します】