第487号コラム:丸谷 俊博 理事・事務局長(株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「第14期活動状況とIDF講習会、コミュニティ2017等」

最近の気候変動は、異常が当たり前のようになってきており、風水害や気温の急激な変動等が多発し社会生活にもじわじわと影響を与えるようになって来ています。IDF会員各位におかれましては、体調管理と共に安全確保にもご留意下さい。

さて、第14期のIDF活動は、総会時に示しました活動計画に従って逐次推進されております。各分科会活動やWGを企画・推進しておられる各分科会の主査・幹事及びこれらにご参加頂いている有志会員、オブザーバーの方々に厚く御礼申し上げます。また、IDFの各種の諸活動にご参加頂いている個人・団体会員各位、各省庁オブザーバー各位、IDF運営を支えて頂いている役員各位にも厚く御礼申し上げます。

各分科会活動やWG以外のIDFとしての大きなイベントには、IDF講習会とコミュニティがありますが、お陰様にて9月に開催致しました第7回IDF講習会は、受講者が昨年の第6回を延べ150名上回っただけでなく、関西(大阪)でも初めてのコース設定(簡易トレーニングコース)を行うこともできた講習会となり大変盛況且つ好評で終えることができました。また、全国の官民からの受講者が増加しただけでなく、特に官公庁においては官費による受講費の予算化が進んでいることも顕著となって参りました。これはIDF講習会に対する認識が毎年の教育研修事業として定着してきたことの表れであると嬉しく思っております。
※12月下旬に正式に告知致しますが来年2018年の第8回IDF講習会は、通常コースが9/6(木)、9/7(金)に開催、簡易トレーニングコースは、9/5(水)、9/6(木)、9/7(金)に開催予定です。

現在は、12月のコミュニティ2017の参加募集や協賛の受付中ですが、こちらも昨年以上の盛況を期待しております(会場規模から収容人数的制約はあります)。今回のメルマガでは、コミュニティ2017での注目点と第14期の新規活動の状況についてお知らせ致しますので、既にコミュニティへ参加申込をされておられる方は、同僚・知己等にご紹介頂き、まだ参加申込をされておられない方は、早めの参加申込をお願い致します。尚、コミュニティ2017の開催内容やプログラムに関しましては、コミュニティメルマガ第1号~第3号で紹介しておりますので下記をご覧下さい。

第1号:開催案内      https://digitalforensic.jp/2017/09/01/com-2017-mlmg01/
第2号:1日目プログラム https://digitalforensic.jp/2017/10/10/com-2017-mlmg02/
第3号:2日目プログラム https://digitalforensic.jp/2017/10/16/com-2017-mlmg03/

コミュニティ2017のテーマは、「見えない**との闘い - 事後追跡可能性とデジタル・フォレンジック -」としました。これはネットワーク環境の拡大発展に伴い、痕跡を残さないサイバー攻撃等が多くなってきていること、また、攻撃者も匿名化技術を活用する等、攻撃手法の進化に伴い、従来のデジタル・フォレンジックの手法だけでは事実の解明や追跡調査・解析が容易でない状況も生じているため、このような現況と趨勢を確認し、今後デジタル・フォレンジックをどの様に積極的に活用してゆけば良いのかを検討したいと考えて設定したテーマです。

このテーマと趣旨に合わせて各分野の第一線の講師の方々を招請すると共に「研究会1」「研究会2」で本テーマの掘り下げ検討と提言を行う予定です。また、一昨年来、毎年WGで検討してきた内容をまとめて公開資料を出しております「医療」分科会による研究会(医療分野におけるDFの必要性提言)や、休憩時間での実施となりますが初日に「DF普及状況調査」分科会小山主査による来場者参加の「WEBアンケート(昨年のコミュニティでは交流会時に実施)」、二日目にIDFとして初めて実施致しますが「優秀若手研究賞」表彰を実施致します。これは、デジタル・フォレンジック研究の活性化を目的として、デジタル・フォレンジックに関する優れた若手研究者を表彰するものです。10月末でIDF役員から推薦を受けた技術、法務、医療等の若手DF研究者から優秀者及び準優秀者を選定委員会(長:佐々木理事)が選定し、11月の理事会で審査・決定してコミュニティ時に表彰を行います。どうかこれらの各講師によるご講演や各「研究会」等を直接お聞きになり、状況の認識と知見を深めることに役立てて頂きたいと思います。

※講演:(講演概要等は、コミュニティメルマガ第2号、第3号ご覧下さい)
吉岡 克成 氏(横浜国立大学大学院 環境情報研究院 准教授)
演題:「IoTにおけるサイバー攻撃の最新動向とその対策」

鎌田 敬介 氏((一社)金融ISAC 専務理事/CTO)
演題:「組織管理者のための見えないサイバー攻撃リスクへの心構え」

寺田 真敏 氏(日本シーサート協議会 運営委員長)
演題:「セキュリティインシデントから学べること」

中谷 和弘 氏(東京大学大学院 法学政治学研究科 教授)
演題:「サイバー攻撃の国際法 -タリン・マニュアル2.0について-」

※研究会等:(講演概要等は、コミュニティメルマガ第2号、第3号ご覧下さい)
研究会1 :「攻めのデジタル・フォレンジック」
座 長 :名和 利男 氏((株)サイバーディフェンス研究所 専務理事兼上級分析官)
メンバー:
松本 隆 氏(SCSK(株)エバンジェリスト)、
井上 大介 氏(情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究室長)、
下垣内 太 氏(大阪データ復旧(株)代表取締役)、
エルワン ル・マレコ 氏(アーバーネットワークス(株)ASERT Japan)

研究会2 :「攻めのデジタル・フォレンジックを阻む法制度」
座 長 :石井 徹哉 氏(千葉大学 副学長 大学院専門法務研究科 教授)
メンバー:
北條 孝佳 氏(西村あさひ法律事務所 弁護士)、
佐藤 元彦 氏(伊藤忠商事(株) 上級サイバーセキュリティ分析官)

医療研究会:
江原 悠介 氏(PwCあらた有限責任監査法人)、
和田 則仁 氏(慶應義塾大学 医学部)

多くの会員、オブザーバーにご参加頂くと共に皆様の同僚、知己等にも参加を勧誘して下さいますようお願い致します。
※こちらも12月下旬に正式に告知致しますが来年のコミュニティ2018は、2018/12/10(月)、12/11(火)に開催予定です。

IDFの第14期の新規企画活動としては、総会時に企画紹介致しました「法曹実務者会合」を7月と10月に実施致しました。これは、弁護士、検察官、裁判官等の法曹界のIDF会員をメンバーとして、法曹界へのDFの普及・啓発を図るため、これらの方々による現場での調査や訴訟対応等の現状と経験を自由討議により課題を洗い出し、DFの使用と役割についての認識を共有することや、専門企業のDF技術者の認識や重視ポイントと法曹関係者の認識の差異等を相互に知ってゆこうとする活動です。まだ、スタートしたばかりですが、徐々に法曹界へのDF普及に向けて何をしてゆけば良いのかについて知見を蓄え、提言等を作成してゆけるものと思いますのでご期待下さい。

この他、6/15(木)にIDFとしては初めて東京以外で開催する研究会活動として、京都産業大学法教育総合センターと共催で「証拠保全ガイドライン第6版」の説明講演会&シンポジウムを開催致しました。その後、上述のように第7回IDF講習会では、大阪での簡易トレーニングコース設置を行いました。このように今後、東京以外でのIDF活動の展開(当初は関西圏、以後、各地へ展開)を図って行く機運も出てきておりますので、関西や九州等におられる会員各位からのご支援も賜りながら逐次具体化を図る予定です。
勿論、北海道や東北その他の地域での開催も検討して参りたいと考えております。

最後にIDF会員、オブザーバーの皆様には、引き続き、各種IDF活動への積極的なご参加とご支援をお願い致します。また、皆様からの各種ご提案等が御座いましたら、IDF事務局( office@digitalforensic.jp )へお知らせ下さい。IDF事務局または理事会にて検討し、対応して参ります。今後とも宜しくお願い致します。

【著作権は、丸谷氏に属します】