第652号コラム:手塚 悟(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授)
題:「コロナ禍での慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター行事
『第10回記念サイバーセキュリティ国際シンポジウム』について」

2015年8月に、慶應義塾大学は全塾研究センターとして「サイバーセキュリティ研究 センター」を設立しました。その記念行事として2016年2月に開催したサイバーセキュリティ国際シンポジウムを皮切りに、昨年10月に「慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター行事『第10回記念サイバーセキュリティ国際シンポジウム』を開催しましたので、この内容についてご紹介します。

今回のサイバーセキュリティ国際シンポジウムは、第10回の記念すべき開催となりました。この記念シンポジウムにふさわしく、世界のサイバーセキュリティに関する大学連携組織であるInterNational Cyber Security Center of Excellence (INCS-CoE)と、米国の非営利団体であるMITREが共同開催者となり、開催規模も今まで以上に大きくして実施しました。コロナ禍での開催となりましたので、今までの慶應三田キャンパスでの  開催とは違い、初の試みであるオンラインでの実施となりました。

今回の記念シンポジウムの目的は、以下の内容としました。「実空間とサイバー空間にまたがる現代社会はグローバル化が急速に拡大し、その一方で歴史的に前例のない新型コロナウィルス COVID-19 の感染が世界規模で広がっている状況下において、我々はニューノーマル(新常態)に向けた行動変容を模索して行く必要があります。そこで、私共も従来のキャンパス内での物理的なシンポジウムから、バーチャル・オンライン・シンポジウムを企画いたします。既に日常生活では、サイバー・スペースに依存したオンラインでの仕事や学習へとシフトしています。オンライン環境のパンデミックが発生してしまうと、新型コロナの比ではなく瞬時にグローバルなサイバー・スペースに感染してしまいます。それが故に、日々のサイバー・スペースの健全性が保たれるように、いかにパンデミックの発生を防ぐかが問われています。今こそ、サイバー・スペースを念頭にした国際連携を踏まえた「トラスト」信頼関係を、グローバルへと発展させる時であると考えます。5日間にわたるバーチャル・オンライン・シンポジウムでは、多国間で信頼できるトラスト環境を構築するために、パンデミックにも強い持続性・継続性あるグローバル・トラスト・サービスについて議論します。議論のテーマには、Data Free Flow with Trust(DFFT)、トラストサービス(国際相互認証International Mutual Recognition of Trust:IMRT)、5G、AI、プライバシー、IoT等に関わる最先端技術、国家政策、ベストプラクティス等が含まれます。参加者は、日本政府関係者、米国・英国・欧州・オーストラリア・イスラエル大使クラス、INCS-CoEメンバーとパートナー、日本企業、海外企業が予定されています。」

日米英EU豪等のスピーカやパネリストにご参加いただくために、リアルタイムでオンラインを実施するには、下記の時間帯で行うことにいたしました。

地理的な距離を超えるオンラインであろうとも回避できない点として「開催時間」の問題があり、特に日本は夜になるので、時間調整が大変でありました。

開催日は、1日で使える時間が約3時間で開催規模も大きくしましたので、昨年は10月5日(月)~9日(金)の5日間開催いたしました。プログラムの詳細については開催概要URLをご覧ください。

今回、初のオンライン開催をして非常によかった点は、当然のことではありますが、世界中の方が参加いただけたことです。今までの慶應三田キャンパスでの開催では約500人規模でしたが、これがオンライン開催では約1500人規模の開催となりました。また、参加いただいたスピーカやパネリストの方々も、今までは約70人であったものが約150人となりました。また、スピーカやパネリスト等の同意を得て、アクセス制御付きYouTubeで11月末までの2か月間、自由にシンポジウムを視聴できるようにした点は、当日参加できなかった人も見ることができ、好評でありました。このように日本にわざわざ来ていただかなくても気楽に出席できるという利点が、改めて実証できたと考えます。

次回の第11回サイバーセキュリティ国際シンポジウムは、現在の予定では2021年10月末に開催しますが、コロナの終息状況に応じて、以下の2パターンを検討しています。
1.オンライン開催
2.現地とオンラインのハイブリット開催
つまり、以前のような慶應三田キャンパスのみでの開催には戻らないと考えています。これもニューノーマルと言えるのでしょうか。

今後も、サイバーセキュリティ国際シンポジウムは続けて行きますが、開催形態は変容していくと考えられます。ただし、そのようにしても「開催時間」の点はどうすることもできないことが、改めて明白になった気がしています。

最後に、コロナの影響は人類にとって、今までにない試練ではありますが、この試練を特にITの力で乗り越えたところに、新世界が待っているように思えてなりません。

以上

【著作権は、手塚氏に属します】