コラム
コラム第853号:「詐欺師はあなたを見ている」
第853号コラム:松本 隆 理事(株式会社ディー・エヌ・エー IT本部 セキュリティ部 サイバーアナリスト) 題:「詐欺師はあなたを見ている 」 先日、知人のイラストレーター(仮にAさんとする)に詐欺の相談を受けた。相談された内容はおよそ以下のとおりだ。なお特定を防ぐために、内容を一般化している。 実はNFT関連のトラブルに巻き込まれて困っている。Aさんは、pixivのような作品コミュニケーションサービスでも作品を発表しているのだが、ある日メッセージで直接、あなたの素晴らしいイラストをNFTとして購入したいというオファーがあった。Aさんは作品が評価されたことがうれしく、またオファーされた金額も申し分ないものだったので快諾した。AさんにはNFTに関する知識がなかったが、相手にそのことを伝えると、NFT周りの手続きをサポートするので、指示通りに作業してほしいと言ってきた。Aさんは相手から送られてきたURLをクリックして海外のNFTマーケットプレイスでアカウントを作成し、MetaMask(※1)のウォレットを作成し、作品をマーケットプレイスにアップロードし作品を公開した。相手は約束通りの金額でAさんが出品したNFTを購入し、Aさんは多額の収入を得ることができた。 ところが、Aさんが販売したNFTの代金として得たETH(暗号資産イーサリアム)を、マーケットプレイスから自ら管理するMetaMaskのウォレットに出金しようとすると、プラットフォームのサポートを名乗る相手から連絡があり、マーケットプレイスからAさんの管理するウォレットに出金するためには、まず販売価格の8%の手数料とウォレット登録料を振り込む必要であると説明された。AさんはMetaMaskで指定された額のETHを購入し、サポートから指定された口座に、購入したETHを振り込んだ。しかし先方が指定する手数料と登録料を振り込んだにも関わらず、一向に出金される気配がない。そこでサポートに問い合わせると、現在システムの不具合で出金対応できない、急ぎの出金には人間が張り付いて対応する必要があるため、追加で10%の手数料が必要だと言われた。ここでAさんは怪しいと気付き、私に相談した…
コラム第852号:「民事裁判IT化は国際訴訟に及ぶか?」
第852号コラム:町村 泰貴 理事(成城大学 法学部 教授) 題:「民事裁判IT化は国際訴訟に及ぶか? 」 民事裁判のいわゆるIT化は、令和4年に民事訴訟手続のIT化を定めた法律が成立し、令和5年には民事執行手続、倒産手続、家事事件手続等をIT化する法律が成立し、一部は施行され、手続に用いられるシステムの構築を進めて、民事訴訟手続IT化法は令和8(2026)年5月までに、その他の民事手続IT化法は令和10(2028)年6月までに、それぞれ全面施行される予定である。
コラム第851号:「クラウドフォレンジック人材育成の取り組み」
第851号コラム: 小山 覚 理事 (NTTコミュニケーションズ株式会社 情報セキュリティ部 部長) 題:「クラウドフォレンジック人材育成の取り組み」 このコラムはデジタル・フォレンジック研究会のDF人材育成分科会主査の立場で書かせていただいた。第21期DF人材育成分科会は人材育成の一環として「クラウド・フォレンジック・ガイドライン」の執筆を目標に掲げて取り組んできた。 昨年開催されたDF人材育成分科会主催の講演会にて、とある方からガイドラインを執筆してその普及活動を展開することで人材育成に取り組んではどうかと、貴重なご意見をいただいた。その言葉に押され、クラウド環境に対応したフォレンジック人材の育成に取り組み始めた。
コラム第850号:「コンテンツ・モデレーション規制の動向」
第850号コラム:小向 太郎 理事(中央大学 国際情報学部 教授) 題:「コンテンツ・モデレーション規制の動向」 昨年12月のコラムでは、最近よく耳にするようになったコンテンツ・モデレーションと、プラットフォームなどの媒介者の責任の関係を話題にした。その後、欧州委員会が、コンテンツ・モデレーション規制に関して事業者に対する調査を開始しているので、今回はそのことについて取り上げたい。
コラム第849号:「今期「ヘルスケア分科会」が公開する資料 ~ 「契約」の観点から考える医療セキュリティをリメイク版ドラクエ3とともに考える~」
第849号コラム:江原 悠介 理事(PwC Japan有限責任監査法人 リスクアシュアランス ディレクター) 題:「今期「ヘルスケア分科会」が公開する資料 ~ 「契約」の観点から考える医療セキュリティをリメイク版ドラクエ3とともに考える~」 今期の「ヘルスケア」分科会では、ワーキンググループによる研究成果として、『「医療情報システムの契約における 当事者間の役割分担等に関する確認表」の利用手引 ~医療情報システムのサイバーセキュリティに係る「契約」上の基本的な留意事項』~ という資料(以下、「手引」と記載)を公開することとなった。