コラム第834号:「史上最大規模の暗号資産流出事件と組織的犯罪処罰法」
第834号コラム:北條 孝佳 理事(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー 弁護士)
題:「史上最大規模の暗号資産流出事件と組織的犯罪処罰法」
1 はじめに
これを読まれる方の大半は、2018年に発生した史上最大規模の約580億円相当の暗号資産が流出した事件(以下「暗号資産流出事件」という。)をご存じであろう。この事件の犯人は捕まっていないが、関連する取引を実行した複数人が摘発され、1件は最高裁で有罪が確定し、少なくとも2件は2024年7月末時点で裁判中である。この裁判の争点の一つは、サイバー犯罪特有の国外が絡む問題であるため紹介する。