コラム第798号:「コンテンツ・モデレーションと媒介者の責任」
第798号は、小向 太郎 理事(中央大学 国際情報学部 教授)
題:「コンテンツ・モデレーションと媒介者の責任」
最近、コンテンツ・モデレーションという言葉を、よく聞くようになった。例えばデジタル大辞泉では、コンテンツ・モデレーションを、次のように説明している。
「インターネット上の不適切なコンテンツを監視し、必要があれば削除すること。主にソーシャルメディアや動画共有サービスに投稿された暴力・虐待・ポルノなどの画像・動画を対象とする」
日本では、コンテンツ・モデレーションのことを「投稿監視」と訳しているものも見かけることがある。これだと、プラットフォーム上の情報を監視して、なにか問題のあるコンテンツを見つけ次第すぐに削除しようとしているような印象を受ける。しかし、規制や管理ではなくモデレーション(緩和、軽減)という言葉が使われていることを考えると、本来はもう少し緩やかな概念だといってよいだろう。実態としても、不適切なコンテンツの根絶を目指すものとは考えられていない。
コラム第797号:「慶應義塾大学開催の第13回サイバーセキュリティ国際シンポジウム『多国間の産官学連携による国家安全保障、経済安全保障、社会保障』について」
第797号コラム:手塚 悟 理事 (慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
題:「慶應義塾大学開催の第13回サイバーセキュリティ国際シンポジウム『多国間の産官学連携による国家安全保障、経済安全保障、社会保障』について」
慶應義塾大学は2015年8月に、全塾研究センターとして「サイバーセキュリティ研究センター」を設立しました。その記念行事として2016年2月に開催したサイバーセキュリティ国際シンポジウムを皮切りに、毎年シンポジウムを行ってきました。今年も10月に「慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター行事『第13回サイバーセキュリティ国際シンポジウム』を開催しましたので、これについてご紹介します。
コラム第796号:「3層公開鍵暗号の提案 -真正性文化の基盤として」
第796号コラム:辻井 重男 理事(中央大学 研究開発機構 機構フェロー・機構教授)
題:「3層公開鍵暗号の提案 -真正性文化の基盤として」
小学校高学年時代に太平洋戦争を経験した者として、古典暗号(軍事外交暗号)についての関心も深いが、研究者として衝撃的だったのは1970年代後期の公開鍵暗号の発明である。暗号は秘匿手段だった暗号に対し、本人確認等の真正性保証という重要な役割が加わった。1990 年代、情報セキュリティの
重要性が叫ばれ始めた。
とは言ってもセキュリティに関する実感は薄く、セキュリティ=暗号だったので、暗号に関する社会的関心は低かった。しかしながら、また最近、偽情報が課題となっている環境の中で、真正性保証が不可欠になっている。
コラム第795号:「生成AIの誕生によるAttack by AI攻撃のリスクと対策の考察」
第795号コラム:佐々木 良一 理事(東京電機大学 名誉教授・サイバーセキュリティ研究所 客員教授)
題:「生成AIの誕生によるAttack by AI攻撃のリスクと対策の考察」
AIのセキュリティの研究に着手しており、2020年に、AIとセキュリティの関係は図1の4つに整理できることを明らかにしました。
一方、最近、生成AIが注目を浴びており、その影響は非常に大きいと考えられます。そこで、この生成AIが普及することによって4つのうちどの部分に対する影響が大きいのか、そのためどのような対策が必要になるのか考察してみました。