コラム
コラム第844号:「3層公開鍵の提案―本人・本モノ確認の信頼性向上に向けて-公開鍵は火薬の発明に匹敵?」
第844号コラム:辻井 重男 理事(中央大学 研究開発機構 機構フェロー・機構教授) 題:「3層公開鍵の提案―本人・本モノ確認の信頼性向上に向けて-公開鍵は火薬の発明に匹敵?」 ある科学史の本に「公開鍵暗号の発明は火薬の発明に匹敵」と書かれているそうだ。公開鍵暗号というより公開鍵安号が専門の筆者としては「正にその通り」と言いたいところだが、火薬は誰にでも分かるが、数学的発明の公開鍵暗号は理解が難しい。
コラム第843号:「将来の刑事手続における利用を目的とした捜査資料の保存―名古屋地裁令和4年1月18日判決・名古屋高裁令和6年8月30日判決を契機として」
第843号コラム: 尾崎 愛美 氏(筑波大学ビジネスサイエンス系 准教授、IDF「法務・監査」分科会 主査) 題:「将来の刑事手続における利用を目的とした捜査資料の保存―名古屋地裁令和4年1月18日判決・名古屋高裁令和6年8月30日判決を契機として」 2022年(令和4年)1月、名古屋地裁は、暴行事件に係る捜査の際に取得された無罪確定者の指紋、DNA型、顔写真及び携帯電話のデータを保有し続けることがプライバシー権を侵害するとして、人格権に基づき指紋、DNA型、顔写真及び原告所有の携帯電話のデータ(以下、「本件3データ」という)の抹消を命じた(名古屋地裁令和4年1月18日判決(判例時報2522号62頁)。
コラム第842号:「システムチェンジ」
第842号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 代表理事) 題:「システムチェンジ」 最近では、ビジネスとソーシャルの垣根が低くなり、ソーシャルの領域でも、収益モデルとして事業を立ち上げるアントレプレナーが生まれています。私自身も、2009年から、ビジネスとソーシャルの融合を目指す、ソーシャルアントレプレナーを支援しています。 私が、ソーシャルアントレプレナーという言葉を最初に知ったのは、NHKのテレビ番組で、ビル・ドレイトンへのインタビューを視聴した時です。ソーシャルアントレプレナーの父と言われるビル・ドレイトンは、社会課題の解決に起業家のマインドと行動様式を生かすことができれば、社会課題の解決が一気に進むのではないかと考えました。ビル・ドレントが1980年に設立したアショカ(米国)は、現在、世界97カ国の4000人のソーシャルアントレプレナーをネットワークする団体に発展しています。
コラム第841号:「「親分でまとまる集団とルールでまとまる集団」とIDFに対するちょっとした提案」
第841号コラム:丸山 満彦 監事(情報セキュリティ大学院大学 客員教授 PwCコンサルティグ合同会社 パートナー) 題:「「親分でまとまる集団とルールでまとまる集団」とIDFに対するちょっとした提案」 デジタルフォレンジック研究会が設立したのが、平成16年(2004年)8月23日です。設立から20年が経ちました。このニッチな業態の中、よくぞ20年継続したものだというのが、私の素直な感想であるとともに、この領域の重要性に20年以上前に気づき、関係者を巻き込み団体として活動を開始した設立時の皆様、そしてその活動を継続して、ここまで発展させてきた皆様の熱意と活動及びその成果に対して頭が下がります。 さて、そんなこの団体について、私の一つの考えを紹介したいと思います。
コラム第840号:「手術支援ロボット」
第840号コラム:和田 則仁 理事(神戸大学大学院 医学研究科医療創成工学専攻 特命准教授) 題:「手術支援ロボット」 多くの方は手術支援ロボットのda Vinciをご存知でしょう。初期のモデルは2000年に日本に入りましたが、新しいモデルは2008年に輸入され、2012年から前立腺全摘で保険適用となりました。ロボットといっても工場の産業用ロボットのように、ロボットが自動的に動いて手術をするわけではなく、術者がロボットアームを直接操作して手術が行われます。ロボット支援手術は、牛丼とは異なり「遅い」、「高い」ことが特徴です。腹腔鏡手術とロボット支援手術を比べたランダム化比較試験はいくつか報告されていますが、すべての試験でロボット支援手術はコストが高く、手術時間もロボット支援手術で延長することが示されています。もちろん牛丼の「美味い」に相当する「上手い」が証明されれば、コスト高で手術時間が長くても許されるといえますが、手術の成績(アウトカム)は両者で同等となることがほとんどです。なぜなら、腹腔鏡手術とロボット支援手術は、道具の違いだけで、体内でやっていることはほぼ同じだからです。