コラム第895号:「Health ISAC Japanの設立、および「ヘルスケア」分科会との連携について」
第895号コラム:江原 悠介 理事(PwC Japan有限責任監査法人 リスクアシュアランス ディレクター)
題:Health ISAC Japanの設立、および「ヘルスケア」分科会との連携について
2025年9月に、国内のヘルスケア領域を対象としたサイバーセキュリティの教育・啓発団体として(一社)Health ISAC Japanが活動を開始しました。
この団体は医療・介護・薬局、製薬・医療機器、ウェルネス等、我々が日本内で心身の健康を維持する上で必要となる各種領域を維持するためのセキュリティという問題系を市場的な競争領域でなく、社会福祉的な公共性のある協調領域として捉え、これからの未来につなげる活動を行うことを目的としています。
また、この団体は国内病院のほとんどが深刻な経営赤字を恒常的に抱えており、セキュリティという領域に投資できる病院などゼロに近いにもかかわらず、市場の論理に基づく営利活動を目的とした取組は行いません。医療を含む国内のヘルスケア領域はそもそもお金がなく、さらにそこでのセキュリティで商売するなどということは夢物語です。経済的な見返りを得るのではなく、公共的な恩返しこそが活動の軸です。
コラム第894号:「地方目線で考える日本再生」
第894号コラム:伊藤 一泰 理事(近未来物流研究会 代表)
題:地方目線で考える日本再生
1.日本の現状
「地方創生」を旗印にしていた石破政権が崩壊した。
このコラムを執筆している9月末現在では、まだ自民党総裁選のさなかであり、次の政権・総理大臣が、どこまで地方創生に力を入れていくのか不明だが、おそらく石破政権に比べ政策の優先度は後退するのではないかと思う。
その一方で、「外国人政策」がクローズアップされている。背景にあるのは、前回の参議院議員選挙での「参政党」の大幅な伸長がある。日本の中で極右化が進んでいると世界がざわめいた出来事である。自民党の政治と金をめぐる「うさんくささ」は払拭されていないが、外国人政策に関する「排除」と「分断」の流れには、「うさんくささ」よりはるかに大きな懸念を持たざるを得ない。
コラム第892号:「外科医からみた医療機器開発とデータ真正性保持のフォレンジック技術」
第892号コラム:和田 則仁 理事(神戸大学大学院医学研究科医療創成工学専攻 特命准教授)
題:外科医からみた医療機器開発とデータ真正性保持のフォレンジック技術
現代医療は、診断から治療に至るまで目覚ましい進歩を遂げている。とりわけ、手術支援ロボットや画像診断装置といった先進的な医療機器は、外科医の手技を拡張し、患者の予後を向上させてきた。しかし、その革新は同時に新たな法的・倫理的・技術的課題を突き付けている。医療機器が生み出すデータは、単なる記録ではなく、患者の生命を左右する重要な情報資産である。こうした背景を踏まえ、外科医の立場から、医療機器開発の現状と課題、データ真正性確保の重要性、さらにフォレンジック技術の役割について考えてみたい。
