コラム
コラム第848号:「混沌とする世界情勢と日本の進むべき道」
第848号コラム:伊藤 一泰 理事(近未来物流研究会 代表) 題:「混沌とする世界情勢と日本の進むべき道」 「混沌とする世界情勢、、、」というタイトルを見て、多くの方々は大企業に関わる問題だと思うだろうが、実は、大企業だけでなく中堅企業や中小企業にも直接・間接に関わってくる問題である。 企業規模に拘わらず、ほとんどの経営者は国際情勢を把握しておく必要がある。 多くの場合、経営トップ自ら情報収集を行い、米国や日本が今後どうなるのか、自分たちが属する業界にどのような影響があるのかを注視している。 もし、この努力を怠っている経営者がいたら、その会社は危うい。世界の政治、経済、社会がどのように変容し、自分の会社がどう影響を受けるのか、諸課題に対して如何に対処すべきか、経営者は常に考えるべきである。
コラム第847号:「詐欺広告のウエブサイトへの掲載について」
第847号コラム:石井 徹哉 理事(明治大学法学部専任教授) 題:「詐欺広告のウエブサイトへの掲載について」 ウエブサイトに広告が表示されるようになって相当の年月が経っています。かつては、広告にマルウエアが仕込まれ、当該広告が表示されることによりマルウエアがダウンロードされて被害が生じうるようなものもありました。最近問題となっているのは、SNSなどに提供される広告内容が詐欺となるようなものです。某新聞社のウエブサイトの広告にいわゆるサポート詐欺が表示されることが話題となりました。また、著名人の名前を無断で借用して投資へと誘導するものについて、SNSのプラットフォーマの削除の懈怠が問題となっていたりします。 こうした詐欺の広告が自社の提供するウエブサイトやSNSで表示されている場合、企業のコンプライアンスの問題としてどのように対処すべきかが問われることになります。
コラム第846号:「刑事訴訟法一部改正と難解な法律用語」
第846号コラム:安冨 潔 理事(慶應義塾大学 名誉教授 渥美坂井法律事務所・外国法共同事務所) 題:「刑事訴訟法一部改正と難解な法律用語」 令和5年5月10日、第121回通常国会において、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和5年法律第28号)が成立し、同月17日に公布されました(施行は令和10年5月16日までの政令で定める日です)。 この法律では、保釈中の被告人等による逃亡を防止し、公判が開かれる期日への出頭と裁判の執行を確保するための法整備を行うことが改正の主な目的でした。 この法改正が検討されるきっかけとなったのは、令和元年12月に第一審の公判前整理手続中に、海外渡航禁止などを条件として保釈された被告人が、その条件に違反して不法に出国して逃亡したという事案が発生したことでした。これまでも、懲役刑が確定した者や勾留の執行を停止された被告人が逃亡した事案はありましたが、保釈された外国人の被告人が巧妙な手段で国外に逃亡したというのはなかったと思います。
コラム第845号:「CySecのデジタルフォレンジック教育10周年」
第845号コラム:コラム:佐々木良一 理事(東京電機大学 名誉教授・サイバーセキュリティ研究所 客員教授) 題:「CySecのデジタルフォレンジック教育10周年」 私がセキュリティの研究に着手したのは1984年のことで、当時所属していた日立のシステム開発研究所の主任研究員になった時のことでした。その後、セキュリティの研究は続き、2001年に東京電機大学に移ってからもセキュリティの研究に携わりました。 大学での教員生活を開始するにあたり次の3つのことを心掛けました。 1.学生の指導を第一義に位置づける 2.生涯一研究者でいることを大切にする (ITリスク学の確立、デジタルフォレンジック研究の先行実施) 3.頼まれたことは自分の専門性が生かせるなら基本的に引き受ける (学会、政府委員会等の活動、学内の活動) 戸惑いながらもいずれも何とかやってこられたのかなと思っています。
コラム第844号:「3層公開鍵の提案―本人・本モノ確認の信頼性向上に向けて-公開鍵は火薬の発明に匹敵?」
第844号コラム:辻井 重男 理事(中央大学 研究開発機構 機構フェロー・機構教授) 題:「3層公開鍵の提案―本人・本モノ確認の信頼性向上に向けて-公開鍵は火薬の発明に匹敵?」 ある科学史の本に「公開鍵暗号の発明は火薬の発明に匹敵」と書かれているそうだ。公開鍵暗号というより公開鍵安号が専門の筆者としては「正にその通り」と言いたいところだが、火薬は誰にでも分かるが、数学的発明の公開鍵暗号は理解が難しい。