コラム第895号:「Health ISAC Japanの設立、および「ヘルスケア」分科会との連携について」

第895号コラム:江原 悠介 理事(PwC Japan有限責任監査法人 リスクアシュアランス ディレクター)
題:Health ISAC Japanの設立、および「ヘルスケア」分科会との連携について

2025年9月に、国内のヘルスケア領域を対象としたサイバーセキュリティの教育・啓発団体として(一社)Health ISAC Japanが活動を開始しました。

この団体は医療・介護・薬局、製薬・医療機器、ウェルネス等、我々が日本内で心身の健康を維持する上で必要となる各種領域を維持するためのセキュリティという問題系を市場的な競争領域でなく、社会福祉的な公共性のある協調領域として捉え、これからの未来につなげる活動を行うことを目的としています。
また、この団体は国内病院のほとんどが深刻な経営赤字を恒常的に抱えており、セキュリティという領域に投資できる病院などゼロに近いにもかかわらず、市場の論理に基づく営利活動を目的とした取組は行いません。医療を含む国内のヘルスケア領域はそもそもお金がなく、さらにそこでのセキュリティで商売するなどということは夢物語です。経済的な見返りを得るのではなく、公共的な恩返しこそが活動の軸です。

コラム第891号:「身近なセキュリティ ~2025年夏~」

第891号コラム:宮坂 肇 理事(株式会社NTTデータ先端技術 セキュリティ&テクノロジーコンサルティング事業本部 サイバーセキュリティインテリジェンスセンター センター長/Principal Scientist)
題:身近なセキュリティ ~2025年夏~

 本コラムが配信されるのが2025年9月11日であり、毎年この時期にコラムの執筆をさせていただいているので、書き出しがいつも同様になるが、記録を風化させないためにもここからはじめたい。24年前の2001年9月11日に米国ニューヨークの世界貿易センタービルや国防総省(ペンタゴン)に過激派組織10名にハイジャックされた民間旅客機が激突して、多くの数千人の犠牲者と数万人の負傷者が出て国際関係やテロ情勢などに大きな影響を与えた出来事になっていた。詳しくは、いろいろな解説記事などがあるので、参考にしていただければと思う。四半世紀前でもあり、現在第一線で活躍している世代には遠い出来事ではなかろうか。この事件以降にはテロ脅威に対する対策なども強化されている。四半世紀前にはあまり重要視はされていなかったが、それ以降はサイバー空間上のサイバー攻撃の対象や手段が時代とともに変容しており、リスクが増大している。