第32号コラム「デジタル・フォレンジックの現場にて」

第32号コラム:芝 啓真 幹事(株式会社フォーカスシステムズ フォレンジック システム&サービス室)
題:「デジタル・フォレンジックの現場にて」

本年より「技術」分科会の幹事をさせて頂いています芝と申します。宜しくお願い致します。私が初めてデジタル・フォレンジックと出会ったのは、4年前のことでした。当時はセキュリティ分野に関わる事自体が初めての上、更に「フォレンジック」という言葉の意味が全く分からずとても苦労した覚えがあります。現在はデジタル・フォレンジック研究会の活動もあり、「フォレンジック」という言葉も随分浸透してきたと感じています。

さて、現在私はフォレンジック製品の営業を経て、e-Discoveryや調査等の技術的な業務を行なっています。「デジタル・フォレンジックの現場にて」とタイトルをつけましたが、普段の業務を行なっていると、改めて“人”と“セキュリティ”について感じることがあります。

1,2年前、P2Pソフトウェアによる情報漏えいが毎日と言ってもよいほどニュース等で報道されたことは皆様の記憶に新しいかと思います。最近は真新しさもなくなってあまり話題になりませんが、まだ散見されます。これだけニュースになり、おそらく皆様の職場でもかなりの情報セキュリティ教育が行なわれ、業務で使用するPCだけでなく、個人のPCでもP2Pソフトウェアの使用は控えたほうがよいとの認識は全員が持っていると思います。

第30号コラム「第5回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

第30号コラム:丸谷 俊博 理事・事務局長(株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「第5回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

来る12月15日(月)、16日(火)の二日間、第5回目となるデジタル・フォレンジック・コミュニティ2008が開催されます。IDF設立後、5年目となる現在では、“デジタル・フォレンジック”という言葉もセキュリティ関係者や研究者であれば周知の用語として定着してきました。その適用分野や概念的にカバーする範囲も当初の“捜査・調査”主体のものから、内部統制やコンプライアンス等の“監査用証拠”の確認・検証・評価手段として、また、各種ITリスクへの事前防止やインシデントへの即応手段(※1)として、更には収集したフォレンジック・ログの経営分析への活用等の積極的な使用も始まっています。今後は、M&A検討の際の財務・資産調査や自らの情報公開等の裏付け証明としての適用や訴訟処理に関しても米国での“e-Discovery(訴訟の各当事者は互いに相手方に手持ちの電磁的証拠や情報を開示しなければならない)”の様な形態への対応も求められる趨勢となるものと思います。

第29号コラム「未来を創り出すデジタル・フォレンジック」

第29号コラム:澤田 忍 幹事(株式会社NTTデータ 公共ビジネス推進部 技術戦略部 セキュリティ技術推進担当)
題:「未来を創り出すデジタル・フォレンジック」

■情報化により創り出される未来

私は1970年代に生まれ、成長期に電子化・情報化による飛躍的な社会変化を体感した世代だ。パーソナルコンピュータは多くの家庭に普及し、大多数の人が携帯電話を保有する時代となったが、10年前、20年前にこの現実を想像していただろうか。普段の生活において手放せない携帯電話は、今や通話やメールのみならず、カメラ、交通チケットの予約、定期、金融取引、GPS機能など、本当に様々なことを実現するツールになっている。これだけ大きな変化を遂げるならば、次の10年、社会はどのように変化するのだろうかと夢が膨らむ。たとえば、

・携帯電話のさらなる多機能化と、その普及・定着

・サベイランスシステムの監視による安全な社会の実現

・センサータグにより人の見守りやトレーサビリティを実施

・ロボットによる重労働作業や単純作業のサポート

このように、近未来の夢と思われていることが、当たり前のように普及していてもおかしくない。

社会の発展に伴い、「情報セキュリティ技術」「プライバシーの保護」「法制度確立」の必要性がさらに高まることは想像に難くない。デジタル・フォレンジックの意義はますます大きくなるだろう。

第28号コラム「メディカル・フォレンジック・システムの紹介」

第28号コラム:吉崎 徳彦 幹事(KSオリンパス株式会社 医療機器本部 開発推進室 開発推進グループ グループリーダー 課長)
題:「メディカル・フォレンジック・システムの紹介」

弊社は、内視鏡や顕微鏡などの販売を主たる事業としております。2年ほど前、医療安全を目的として、順天堂大産婦人科の武内先生、菊地先生のご指導の下、術中のあらゆる様子を記録する動画記録装置の販売を開始しました。内視鏡カメラや手術顕微鏡、手術室に設置されたカメラなどの映像と、心拍数や血圧といった生体情報を同時にリアルタイム記録するというものです。手術の映像記録は、今後も広がる可能性があると考えております。昨年度の厚生労働省科学特別研究では、手術室における安全性と透明性の確保に関する研究がなされており、手術室内の映像情報と生体情報の共有化の記録の実態状況の結果、手術の録画を実施しているのは、まだ半数以下の病院にとどまるとのことでした。この研究の背景には、2003年12月に厚生労働省が発した「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」において、「手術の画像記録を患者に提供することによって、手術室の透明性の向上を図る」ことを促したことがあると考えております。