第677号コラム:尾崎 愛美 幹事(杏林大学 総合政策学部 専任講師)
近年、欧米では顔認証技術に対する規制の動きが加速している。特に、大手IT企業を擁する米国は、顔認証技術の研究開発においても世界をリードしており、比較的早い段階から顔認証技術が社会にもたらす影響に関する研究が進められてきた。これらの研究報告を通じて、顔認証システムには監視社会化や構造的差別を強化するリスクがあるとの懸念が提示され、人権保護団体を中心に、顔認証技術を開発する民間企業や同技術を採用した公共機関に対して使用禁止を求める運動が活発に行われることとなった。