第394号コラム:安冨 潔 副会長 (慶應義塾大学 名誉教授・弁護士)
題:「2015年のIDF活動を振り返って」
恒例のデジタル・フォレンジック・コミュニティも本年で第12回を迎えることができ、「IoT/クラウド、M2Mのデジタル・フォレンジック」をテーマにこれからの情報技術の進歩と社会との関わりをふまえて、フォレンジック適用を技術的にも法制度整備的にも考えてゆかねばならない諸課題についての幅広い議論ができました。
2015年の活動をふりかえってみますと、「技術」分科会での「証拠保全ガイドライン」第4版を3月に公表することができ、いわばデジタル・フォレンジックの基礎となる標準を公表することができたことは、研究会の重要な成果としてあげなければなりません。デジタル・フォレンジックが必要とされる場面での標準としてこの「証拠保全ガイドライン」をいっそう充実したものとしていきたいと思います。
他の「法務・監査」分科会や、「データ消去」分科会でも、それぞれ貴重な講演と熱心な議論がなされました。また分科会としては、第11期に新たに設けられた「DF人材育成」分科会が活動を開始し、DF人材育成についてさまざまな視点での今後の課題と方策が議論されました( https://digitalforensic.jp/category/event/ )。
また、9月には、第5回IDF講習会を開催し、今後も継続して実施してほしいという希望が強くあり、いっそう内容を充実させたものとして、講習会を続けていこうと考えています( https://digitalforensic.jp/home/act/lecture/lecture-5-2015/ )。
昨今の情報社会におけるさまざまな脅威に対して、デジタル・フォレンジックが重要な機能を果たすものと思います。
社会情勢が大きく変化し、国境のないサイバー空間での諸現象に対して、IDFの果たす役割がいっそう求められるでしょう。
今後も会員の皆様の積極的なIDFへのご参加・ご協力をお願いして、本年最後のコラムとさせていただきます。
みなさま、よいお年をお迎え下さい。
【著作権は、安冨氏に属します】