第515号コラム:櫻庭 信之 理事(シティユーワ法律事務所 パートナー弁護士)
題:「エンジニアと法律家とのさらなるコラボレーションに向けて」

IoT、 AI、 ビッグデータ、自動運転。最近、朝刊でこれらのことばを目にしない日はありません。最先端の技術は、農業、医療、運輸、金融、教育、家電、エネルギー、通信、宇宙事業等々、わが国のほぼあらゆる産業分野に広がりをみせて日々発展し、デジタル経済を押し進めています。ただ、これら広範におよぶ技術も、いったんトラブルとなれば、どれもがデジタル・フォレンジックの射程の問題となりうるものです。

この変革期に、弁護士である小職が理事職を拝命することになり、責任の重さを感じております。弁護士は、使命をもって、社会と法律制度の改善に努め、紛争の適正妥当な解決に寄与すべき職種ですが、今後の社会変化は、前例の乏しい、容易ならない解決策をおそらくは一層求めてきます。

コラムのテーマ「エンジニアと法律家とのさらなるコラボレーションに向けて」は、いろいろなアイデアを出し合い、協力し、未踏の世界に一緒にチャレンジしましょうという呼びかけです。

これまでエンジニアと法律家とは、扱う言語が違い、所作も違い、カルチャーも物の見方も異なり、それが、両業種間のスムーズな相互交流の障壁になることがあったかもしれません。それでも、こうした違いがあるからこそ、協力によって対象領域が広がり、単なる1(技術)+1(法律)=2を超えた、新たな力と価値を創り出す可能性があります。

新設された「法曹実務者」分科会(主査:小職、幹事:弁護士 北條 孝佳 氏)では、裁判手続のIT化を見据え、法曹実務者が効果的な法的活動ができるように意見交換の機会を設けます。あわせて、セキュリティ・エンジニア、ITの技術者、研究者など、法曹実務者以外の専門家との協働を推進することも目的としています。

皆さまのご協力をお願い申し上げ、積極的なご参加をお待ちしております。

【著作権は、櫻庭氏に属します】