コラム第843号:「将来の刑事手続における利用を目的とした捜査資料の保存―名古屋地裁令和4年1月18日判決・名古屋高裁令和6年8月30日判決を契機として」
第843号コラム: 尾崎 愛美 氏(筑波大学ビジネスサイエンス系 准教授、IDF「法務・監査」分科会 主査)
題:「将来の刑事手続における利用を目的とした捜査資料の保存―名古屋地裁令和4年1月18日判決・名古屋高裁令和6年8月30日判決を契機として」
2022年(令和4年)1月、名古屋地裁は、暴行事件に係る捜査の際に取得された無罪確定者の指紋、DNA型、顔写真及び携帯電話のデータを保有し続けることがプライバシー権を侵害するとして、人格権に基づき指紋、DNA型、顔写真及び原告所有の携帯電話のデータ(以下、「本件3データ」という)の抹消を命じた(名古屋地裁令和4年1月18日判決(判例時報2522号62頁)。