第227号コラム「ネットいじめとシチズンシップ教育」

第227号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「ネットいじめとシチズンシップ教育」

今日の子どもたちにとって、Facebook、Twitter、mixiなどのソーシャルネットワークを通じてコミュニケーションを行うことが当たり前の世の中になってきています。多くの時間をネットワーク上で暮らし、より多くの人々と繋がり、より多くの機会を持てるようになりました。それに伴い、一人の発言が与える影響力が大きくなり、ネット上でいじめを受ける機会も増えています。ソーシャルネットワークでは、個人のアカウントに集団で残酷な発言をするなどのネットいじめが簡単に発生しやすくなっています。残念なことに、日本の学校教育では、利用上のマナーに関する倫理教育がなされていないのが現状です。
クマヒラセキュリティ財団では、現在、海外の民主主義や倫理の教育の研究を行っています。昨年4月に、オランダで学校視察を行った際に、画期的なシチズンシップ教育のプログラム「ピースフルスクール」に出会いました。このプログラムでは、小学校6年生を対象にネットいじめを取り上げてレッスンを行っていますので、その一部をご紹介したいと思います。

第226号コラム「デジタル・フォレンジックに係る標準化の動向」

第226号コラム:山田 晃 理事(株式会社サイバーディフェンス研究所情報分析部 上級分析官)
題:「デジタル・フォレンジックに係る標準化の動向」

 以前にも当コラムで紹介したことがある、デジタル・フォレンジックに関係した国際標準が、約二年半の協議期間を経て、年内にも発行される予定となりました。この国際標準は、サイバー犯罪の現場に最初に到着する対応者(DEFR:Digital Evidence First Responder)やデジタル証拠の専門家(DES:Digital Evidence Specialist)等が、デジタル証拠が保存されていると考えられる機器等を特定(Identify)して、それを収集(Collect)し、その中からデジタル証拠を取得(Acquire)した後、解析されるまで安全に保全(Preserve)するために最低限必要なステップを規定した指針です。正式名称は「ISO/IEC 27037 - Guidelines for identification, collection, acquisition and preservation of digital evidence(デジタル証拠の特定、収集、取得及び保全に関する指針)」です。

 ご存じの方も多いかと思いますが、ここで簡単に、ISO/IECの組織及び標準化プロセスをご紹介します。ISO/IEC 27037の標準化作業を行っているのはISO/IEC JTC1という団体です。JTC1は、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構。電気分野を除く工業分野の国際標準(国際規格)を策定する民間の非政府組織。163カ国が加盟。)及びIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議。電気工学、電子工学及び関連する技術を扱う国際標準化団体。82カ国が加盟。)が共同で組織する委員会(Joint Technical Committee 1:第一合同技術委員会)です。JTC1には38個の副委員会(SC:Sub-Committee)が設けられており、その中のSC27が「情報セキュリティの要素、管理システム、サービス技術の標準化(共通的、基盤的な技術関連)」を担当しています。更に、SC27の中には5つのワーキンググループ(WG)が設置されており、今回紹介する活動は、WG4(Security controls and services)の所掌となっています。

第224号コラム「いろいろなフォレンジックソフトを見て~IDF講習会に向けて~」

第224号コラム:芝 啓真 幹事(株式会社フォーカスシステムズ リスクコンサルティング部)
題:「いろいろなフォレンジックソフトを見て~IDF講習会に向けて~」

 今年も「デジタル・フォレンジック製品&トレーニング概要説明会(IDF講習会)」が来週9/13、14に開催されます。昨年は第1回ということもあり、講習側は2社のみでしたが、今回は5社によるコースが設定されております。

 昨年、私はソフトウェアとハードウェアについてのコースを担当させて頂きました。これらのいろいろなフォレンジックツールを初めて知ったときから、早8年もの歳月が流れています。

 最初私が知ったのは、Forensic Toolkit(FTK)とSolo3でした。それぞれ解析ソフトウェアとHDDデュプリケータですが、フォレンジックという言葉自体の意味もよく分からず、とにかく触ってみて、とにかくマニュアルを読んで、なんとか機能を理解しようと悪戦苦闘した記憶があります。当時FTKはバージョンがまだ1で、現在のFTKと画面の印象が大きく異なり、今よりカラフルでない配色の画面でした。FTKはバージョン2でGUIがカラフルになり、その後揮発性データの取得やリモート解析機能など様々な新機能も追加されています。

第223号コラム「病院情報システム管理人の悩み(のひとつ) 医療情報とデジタル・ジレンマ」

第223号コラム:伊藤 英一 幹事(新潟県立新発田病院 循環器内科)
題:「病院情報システム管理人の悩み(のひとつ) 医療情報とデジタル・ジレンマ」

<診療情報の保存期間>

診療録の保存期間は医師法第24条に5年間と定められている。一般的には診療が完結してから後の5年間が保存期間であると解釈されていると思う。現在は医療機関間の連携が盛んになっており、ひとりの患者をその時の病状等に応じて複数の医療機関で対応することが珍しくない。そのような仕組みとして地域連携パスなどと呼ばれたりしているものもある。生活習慣病と言われる病気は経過が長く、治すよりも付き合っていくようなものであることが多い。そうすると、診療が完結したという判断は一医療機関だけでは難しい場合が出てくるし、そもそも診療が完結したとは言いにくい。

こういうこととは別に、平成14年の薬事法改正で、生物由来製品の特性に応じた安全対策の充実を目的としてその使用情報を少なくとも20年間保管することが法制化された。その理由は、生物由来製剤には「1.未知の感染性因子を含有している可能性が否定できない場合がある。2.不特定多数の人や動物から採取されている場合、感染因子混入のリスクが高い。3.感染因子の不活化処理等に限界がある場合がある。」ことからである。血液製剤によるC型肝炎感染では感染が起こったと考えられる時期から20年以上経過した後に該当する血液製剤の使用履歴を探すことが求められたし、ヒト乾燥硬膜によるクロイツフェルト・ヤコブ病では潜伏期間が10年を超えていたため、生物由来製品の使用情報を長期間保存する必要性については理解できることである。なお、感染症の情報は医療に関する個人情報の中でも特有の問題を有している。感染者のみならず感染者の「関係者」の個人情報にもなり得る面があるからである。