第229号コラム「数字リテラシー」

第229号コラム:野津 勤 幹事(株式会社システム計画研究所 特別顧問)
題:「数字リテラシー」

 今年の夏も日本では暑かったですね。この間に行われたロンドンオリンピックも終了しました。すっかり英国時間になった方もおられましょう。なじみの無かった競技も見ているうちに面白くなりました。久しぶりにメダルを取った女子バレーボール競技では、画面上でコートサイドでタブレットを持った監督がしきりに指示を出しているのを目にしました。

 番組での解説者によると、「強烈なストレートで鮮やかに決められると印象が強くて、ストレートに対応するように守備側のフォーメーションが取られてくる。ベンチもその様な指示を出しがちである。しかし、データを見ると実際にはクロスが殆どだったりする。このゲームでは、クロスへの備えを主にすることが守備体制としては正しい」そうで、もっといろいろな解析を行っているのでしょう。一般論として、従来、データ解析の発想が無かった分野では画期的手法といえるのでしょう。

 印象が実際とは違うケースは身の回りにも沢山あると思われます。このような数字を使うメリットは、直観的印象による行動の不適切さを避け、最適な判断を行うためのデータを提供することにあります。

第228号コラム「情報システム部とフォレンジック調査の連携」

第228号コラム:山内 崇 幹事(株式会社ピーシーキッド データ復活サービス部
 フォレンジックサービス部 取締役)
題:「情報システム部とフォレンジック調査の連携」

 弊社で行っているコンピュータ・フォレンジック調査を行う場合、まず初めの打ち合わせでお話しをいただくのは、ほぼ全てのケースでその会社の代表者若しくは役員になります。ここでの話は事件の発端から現状の様子をお伺いしております。

 弊社への調査依頼は従業員の不正調査が多いため事件の内容にもよりますが、容疑者となる従業員に対して大変感情的になっている場合が多く、詳しく調査する迄もなく既に犯人として決定されている状態です。弊社に依頼を頂く内容としてはその決定されている疑惑の証拠を出すことになります。多くの場合それは間違ってはいないのでしょうが、実際に調査を進めて行くと指摘通りの証拠が素直には出てこないという事が多々あります。役員から事件の全容を説明された後は情報システム部の方、もしくは社内のPCを管理している従業員の方と話をし、調査の実務を進めて行く形になります。今までの弊社の経験上、フォレンジック調査を行う会社に依頼を出すということは、情報システム部やそれらの役割に該当する従業員の方が初めに調査をしても思い通りの結果が出なかった場合が多いということです。当然PCやシステムに詳しい方たちが多い中で調査を行っているので、そこで有力な証拠が得られなかった、言わば解けなかった“難問”の依頼になるわけです。そのような難問に対しては教科書通りの調査では簡単には答えは得られません。また、そもそも保全という概念がまだ一般的に乏しく調査によりタイムスタンプ等の有益な情報が全て調査時に書き換えられていることがほとんどです。そんな中で調査をする場合、調査対象をPCのHDDだけに限って行うと希望通りの証拠が出てくることは当然難しく、情報システム部の方とよく話しながら調査の途中で必要となったサーバーのログや調査対象となる方の出勤記録など様々な情報をいただいて事件の全体像を見渡しながら調査を行う形になります。

第227号コラム「ネットいじめとシチズンシップ教育」

第227号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「ネットいじめとシチズンシップ教育」

今日の子どもたちにとって、Facebook、Twitter、mixiなどのソーシャルネットワークを通じてコミュニケーションを行うことが当たり前の世の中になってきています。多くの時間をネットワーク上で暮らし、より多くの人々と繋がり、より多くの機会を持てるようになりました。それに伴い、一人の発言が与える影響力が大きくなり、ネット上でいじめを受ける機会も増えています。ソーシャルネットワークでは、個人のアカウントに集団で残酷な発言をするなどのネットいじめが簡単に発生しやすくなっています。残念なことに、日本の学校教育では、利用上のマナーに関する倫理教育がなされていないのが現状です。
クマヒラセキュリティ財団では、現在、海外の民主主義や倫理の教育の研究を行っています。昨年4月に、オランダで学校視察を行った際に、画期的なシチズンシップ教育のプログラム「ピースフルスクール」に出会いました。このプログラムでは、小学校6年生を対象にネットいじめを取り上げてレッスンを行っていますので、その一部をご紹介したいと思います。

第226号コラム「デジタル・フォレンジックに係る標準化の動向」

第226号コラム:山田 晃 理事(株式会社サイバーディフェンス研究所情報分析部 上級分析官)
題:「デジタル・フォレンジックに係る標準化の動向」

 以前にも当コラムで紹介したことがある、デジタル・フォレンジックに関係した国際標準が、約二年半の協議期間を経て、年内にも発行される予定となりました。この国際標準は、サイバー犯罪の現場に最初に到着する対応者(DEFR:Digital Evidence First Responder)やデジタル証拠の専門家(DES:Digital Evidence Specialist)等が、デジタル証拠が保存されていると考えられる機器等を特定(Identify)して、それを収集(Collect)し、その中からデジタル証拠を取得(Acquire)した後、解析されるまで安全に保全(Preserve)するために最低限必要なステップを規定した指針です。正式名称は「ISO/IEC 27037 - Guidelines for identification, collection, acquisition and preservation of digital evidence(デジタル証拠の特定、収集、取得及び保全に関する指針)」です。

 ご存じの方も多いかと思いますが、ここで簡単に、ISO/IECの組織及び標準化プロセスをご紹介します。ISO/IEC 27037の標準化作業を行っているのはISO/IEC JTC1という団体です。JTC1は、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構。電気分野を除く工業分野の国際標準(国際規格)を策定する民間の非政府組織。163カ国が加盟。)及びIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議。電気工学、電子工学及び関連する技術を扱う国際標準化団体。82カ国が加盟。)が共同で組織する委員会(Joint Technical Committee 1:第一合同技術委員会)です。JTC1には38個の副委員会(SC:Sub-Committee)が設けられており、その中のSC27が「情報セキュリティの要素、管理システム、サービス技術の標準化(共通的、基盤的な技術関連)」を担当しています。更に、SC27の中には5つのワーキンググループ(WG)が設置されており、今回紹介する活動は、WG4(Security controls and services)の所掌となっています。