第281号コラム:舟橋 信 理事(株式会社UBIC 取締役)
題:「「日本画像認識協会」の発足について」

 動画や静止画の鑑定は、デジタル・フォレンジックの一分野である。国際情報処理連合(IFIP)TC11のデジタル・フォレンジックに関するワーキンググループ(WG11.9)においても、画像等に関連した研究が発表されている。

犯罪捜査における画像処理には、容疑者の特定、通過車両のナンバープレート等の画像の鮮明化、ステガノグラフィー技術等を用いて隠ぺいされた情報の抽出などが挙げられる。前の二つについては、軍事用の高価なツールから、性能はそこそこで安価なツールまで、用途に合わせて選択肢が増えてきている。

昨年発生し、4人の誤認逮捕で社会的な問題となった「インターネットを利用した犯行予告・ウィルス供用事件」において、本年6月29日、ウィルス作成罪での立件を断念したとの報道がなされた。この事件において、容疑者の特定は防犯カメラの映像が決め手になったとも報道されている。

都市化にともない、昔からの近所づきあいが消えていくなか、多くの地域において、いわゆるコミュニティが崩壊して久しい状況下では、従来型の犯罪捜査手法も限界が来ているのではないかと想像されるところである。このような環境下で、犯罪捜査の有力な手法として、今回は不発であったかも知れないが、デジタル・フォレンジックやネットワーク・フォレンジックが挙げられる。加えて、次の三つの手法が、今後、有力な捜査手法であると考えられる。①駐車場等の車番読み取り装置などによる容疑者利用車両の特定、②ビッグデータと言われる携帯電話・スマートホンの位置情報による容疑者の特定、③駅、コンビニ、ビル等の防犯カメラ映像による容疑者の特定などである。特に、防犯カメラは、マンション等一般住宅にまで設置されるなど、設置密度が高くなってきており、現在、重要事件解決に寄与したとの報道も増えてきている。

このような情勢の中、昨年3月に、「一般社団法人 日本画像認識協会」が発足した。事業活動は、①防犯カメラ映像の解析と鑑定、②防犯システムの評価・鑑定・コンサルティング、③次世代防犯システムの研究開発と事業化の三つの分野で行われる。
また、同協会には、専門委員会として、①画像解析研究専門委員会、②知的見守りカメラ標準化研究専門委員会の二つの委員会が置かれており、今後の活動が期待されるところである。

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