第292号コラム:安冨 潔 副会長(慶應義塾大学大学院法務研究科教授、弁護士)
題:「2013年デジタル・フォレンジック研究会活動を振り返って」

デジタル・フォレンジック研究会も本年で10周年を迎えることができました。
つきましては、本研究会を設立した8月23日には、創立10年記念の式典を無事に行うことができました。そこでは、これまで多大なご援助をいただき、また研究会での貴重な成果をとりまとめられた会員や後援省庁のみなさまに【普及・啓発賞】、【研究開発賞】及び【社会的貢献賞】や【感謝状】をお贈りすることができました。また、10周年を記念して、来春をめどに「改訂版デジタル・フォレンジック事典」の刊行準備を推進しています。

デジタル・フォレンジック研究会では、「法務・監査」、「技術」、「医療」と分科会を設け、定期的に研究会を開催して活動しています。本年も、「法務・監査」分科会では、 「デジタル・フォレンジックを民事訴訟でどう実践するか?(講師:櫻庭 信之氏)」、 「デジタル・フォレンジックと通信の秘密(講師:林 紘一郎氏)」、「不正会計防止のための内部統制 -近年の不正会計事例を踏まえて(講師:小川 真人氏)」を実施し、「技術」分科会では、「Predictive Coding -その技術と活用-(講師:武田 秀樹氏)」、「HDDのファームウェアが改竄されると機能不全に陥る危険性の理論と実演(講師:下垣内 太氏)」、「証拠保全ガイドライン第3版の解説(講師:名和 利男氏)」、「攻撃者を知るためのインテリジェンスの活用~入口、出口、そして侵入拡大へ~(講師:政本 憲蔵氏)」を実施し、また9月には「証拠保全ガイドライン第3版」を公開することができました。
これも、会員みなさまのお力によるものです。副会長として厚くお礼申し上げます。
※「医療」分科会につきましては、年内の開催ができなかったため来春に開催予定で内部検討を進めております。

また、毎年12月に開催される研究会の「デジタル・フォレンジック・コミュニティ」も、
2004年 第1回「デジタル・フォレンジックの目指すもの
           -安全・安心な情報化社会実現への挑戦-」
2005年 第2回「デジタル・フォレンジックの新たな展開
           -コンプライアンス、内部統制、個人情報保護のための技術基盤-」
2006年 第3回「J-SOX時代のデジタル・フォレンジック
           -信頼される企業・組織経営のために-」
2007年 第4回「リーガルテクノロジーを見据えたフォレンジック
           -IT社会における訴訟支援・証拠開示支援-」
2008年 第5回「グローバル化に対応したデジタル・フォレンジック
           -ITリスクに備え、信頼社会を支える技術基盤-」
2009年 第6回「事故対応社会におけるデジタル・フォレンジック
           -それでも起こる情報漏洩に備える-」
2010年 第7回「生存・成長戦略を支えるデジタル・フォレンジック
           -事業リスクを低減する技術基盤-」
2011年 第8回「実務適用が広まったデジタル・フォレンジック
           -事例・実務紹介から学ぶ-」
2012年 第9回「企業活動のグローバル化に伴うデジタル・フォレンジック基盤の確立
           -今、必要なリスク対策を考える-」
2013年 第10回「サイバー攻撃激化時代のデジタル・フォレンジック
           -社会の信頼を高める基盤へのロードマップを考える-」
と、それぞれの時宜にかなった、デジタル・フォレンジックの普及・啓発という研究会の目的を実現しようとした足跡が窺えます。

この間、社会におけるデジタル・フォレンジックの利活用とその有用性について、さまざまな場面で議論がなされ、徐々にではありますが、わが国は、デジタル・フォレンジックという分野に関心が深まってきているように思われます。
情報社会は、環境の変化に伴い、これからもいっそう進展していくでしょう。しかし、その反面、情報社会のもつ脆弱性も表面化してくることと思われます。
デジタル・フォレンジック研究会では、今後、情報技術の発展とともに、デジタル・フォレンジックの普及・啓発を図ることに努力していかなければならないでしょう。

会員のみなさまのこれまでにも増したご協力と積極的な研究会活動へのご参加をお願い申し上げます。
この1年のみなさまのお力添えに感謝申し上げ、本年最後のコラムとさせていただきます。

【著作権は安冨氏に属します】