第572号コラム:手塚 悟 理事(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授)
題:「『日欧インターネットトラストシンポジウム2019』のご報告&7/11-12『第8回サイバーセキュリティ国際シンポジウム』のご案内」

1.「日欧インターネットトラストシンポジウム2019」のご報告

本件に関しては、下記のようなニュースリリースを発信しましたので、その内容を持って、ご報告といたします。

欧州電気通信標準化機構(ETSI)との間のトラストサービスの普及促進に関する協力について

2019年6月18日

欧州電気通信標準化機構(ETSI)
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
トラストサービス推進フォーラム(TSF)
日本トラストテクノロジー協議会(JT2A)
慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター

欧州電気通信標準化機構(ETSI)(注1)と日本の3団体(JIPDEC、TSF、JT2A:以下「関係3団体」という)及び慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センターは、2019年5月23日、European Commission(欧州委員会)の特別後援の下に、ETSI、慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター、JIPDEC主催により開催された、「第2回日欧インターネットトラストシンポジウム2019」の結果を踏まえ、トラストサービスの普及促進に関する協力について、改めて合意しました。

(参考)「第2回日欧インターネットトラストシンポジウム」

同シンポジウムでは、欧州におけるeIDAS規則(注2)に基づくトラストサービスに関するグローバル化にむけたETSIの調査研究の成果が紹介されるとともに、日本の関係3団体の代表者及び専門家から、我が国における電子契約への電子署名の普及状況、クラウドサービスを活用したリモート署名(注3)の標準化に関する検討状況、Society 5.0実現に向けたわが国の産学官の連携したトラストサービスへの取組等が報告されました。最後に、「トラストに関する国際連携の方向性について」と題したパネルディスカッションのセッションを設け、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授手塚悟の司会の下で、ETSI専門家、関係3団体の代表者、アジアPKIフォーラム会長他による活発な議論を行いました。

そして、このシンポジウムを通じて、ETSI関係者と日本の関係3団体及び慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センターの間で、情報交換を継続し、トラストサービスの技術基準の調和に向けて努力することが、改めて確認されました。

日本の関係3団体及び慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センターは、ETSIとの協力による成果を活用しつつ、日本のトラストサービス普及に向けた更なる取り組みを推進する予定です。

(注1)欧州電気通信標準化機構:(ETSI: European Telecommunications Standards Institute、エッツィ)

欧州における情報通信分野の標準化機関であり、欧州委員会及び
欧州自由貿易連合事務局により公式に認識されている。

(注2)eIDAS規則(eIDAS regulation):
・Regulation (EU) No910/2014 of the European Parliament and of the Council
of 23 July
・2014 on electronic identification and trust services for electronic
transactions in the internal
・market and repealing Directive 1999/93/EC.
・eID(electronic identification:電子認証)及びTS(Trust Service)の定義、法的効力、相互運用性を規定したもの。EU加盟各国間における電子申請、オンライン決済、電子契約等の電子化・効率化を促し、競争力の向上及び経済成長を狙いとする。2014年7月23日に採択後、同年9月17日に発効したが、TSに関しては2016年7月1日に発効された。

(注3)リモート署名:
事業者のサーバーに利用者の署名鍵を設置・保管し、利用者がそのサーバーにリモートでログインし、サーバー上で、自らの署名鍵で電子署名を行うこと。
2016年度の経済産業省の電子署名法研究会におけるリモート署名に関する議論を踏まえ、現在、関係者によるガイドライン策定に向けた検討が進んでいるところである。

2.7/11-12「第8回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」のご案内

本件に関しては、下記のようなフライヤーをWebサイトに掲載しましたので、その内容を持って、ご報告といたします。
https://cysec-lab.keio.ac.jp/sympo1907/index-j.html

第8回サイバーセキュリティ国際シンポジウム
『デジタル・エコノミーの越境問題を解決するトラスト・サービス』
慶應義塾大学&Sasakawa USA 共催
2019年7月11日-12日
慶應義塾大学三田キャンパス

サイバーセキュリティは様々な形で議論されている一方、その相対となる「トラスト・サービス」が今日まさに始まろうとしている。同時に、経済活動はすでにデジタル化され、国際化されている状況にある。我々の日常生活において、トラスト・サービスは人の信頼を基本にサイバー空間に取り入れられている。今後の課題は、この「トラスト」を技術、運用、政策のレベルで、どのように解決していくかにある。

本シンポジウムでは、デジタル・エコノミーの越境問題を解決するために、AI、ビッグデータ、IoTなどを活用したソサエティー5.0、グローバル・サプライチェーンを前回のシンポジウムに引き続き議論し、安心安全なサイバー空間を提供するトラスト・サービスの本質に焦点を当てる。米国、英国、イスラエル、EU、オーストラリア、日本の有識者ならびに関係者などが一堂に介し検討する。

2日間にわたるプログラムでは、全体会議での基調講演とパネルセッション、テーマごとにより深いパラレルセッションを設け、世界最高峰の専門家がサイバーセキュリティとトラストの世界情勢について、産官学の関係者を交えて、意見交換をする。

今回で第8回目となる本シンポジウムにおいて、重要課題を共有する仲間が集い、さらに新しい人々も加わって、グローバルなコミュニティがさらに成長することを願っている。

1日目:2019年7月11日(木)9:00-18:10-全体会議及びスピーチとパネル
・全体会議: 村井純(慶應)、手塚悟(慶應)、デニス・ブレア(笹川平和財団米国)、日本政府VIP、在日米国大使館VIP、駐日英国大使館VIP、 駐日イスラエル大使館、駐日欧州連合代表部、在日オーストラリア大使館など
・基調講演とパネル:米国、英国、イスラエル、EU、オーストラリア、日本など
・パラレルセッション:産官学による
-越境におけるトラスト・サービス
-国際的相互認証、など
(レセプション:18:30-20:00)

2日目:2019年7月12日(金)9:00-17:40-全体会議及びスピーチとパネル
・全体会議:村井純(慶應)、手塚悟(慶應)、バッド・ロス(笹川平和財団米国)、
在日米国大使館VIP、駐日英国大使館VIP、駐日イスラエル大使館、駐日欧州連合代表部、在日オーストラリア大使館、日本政府VIPなど
・基調講演:米国、英国、イスラエル、EU、オーストラリア、日本の企業VIPなど
・パラレルセッション:産官学による
-ソサエティー5.0
-グローバル・サプライチェーン
-5Gセキュリティ、など
*プログラム内容は、やむを得ず変更する場合がございます。

【著作権は、手塚氏に属します】