第751号コラム 上原 哲太郎(立命館大学 情報理工学部 教授、IDF会長)
題:「新年のご挨拶」

皆様、新年あけましておめでとうございます。

新型コロナウイルス感染拡大による社会的混乱はようやく落ち着いてきて、我々の社会はWithコロナの新しい生活様式にうまく適応しはじめたと感じます。昨年末の第19回デジタル・フォレンジック・コミュニティも、ハイブリッド形式での開催ではありますが多くの方にオンサイトでご参加頂き、懇親会こそ開けなかったもののコロナ禍前の雰囲気をずいぶん取り戻したようでした。ご参加頂いた皆様、ご講演頂きました講師の皆様、ご協賛頂きました企業の皆様、後援団体の皆様には改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

さて今年は、引き続き医療体制の逼迫を起こさないように感染対策を続ける必要はあるものの、さらに以前に近い生活ができるようになり、経済活動も回復できると期待される…はずだったのですが、ここにきて残念なことに大きな軍事衝突が発生し、世界を再び先行き不透明にしてしまいました。エネルギー価格の高騰から始まる各種物価高は避けがたく、今年は経済的にはかなり難しい年になるのではないかと懸念しています。個人的にはさらに、コロナ禍によって加速してしまった少子化が経済的状況悪化によりさらに進んでしまい、現在でもさまざまな分野で訴えられている労働力不足が20年後に大きな社会問題になるのではないかと心配しているところです。

このような困難を乗り切るためには、労働生産性の大幅な向上、そしてそれに資するITの活用が欠かせません。昨年発足したデジタル庁は、今までの国の機関にはなかったスピード感で行政に関わる業務のデジタル化施策を矢継ぎ早に打ち出しています。民間においても、今年10月に開始されるインボイス制度や来年1月からの義務化が予定されている電子帳簿保存法に基づく「電子取引における電子保存の義務化」など、業務のIT化を後推しする動きが続きます。マイナンバーカードは今年はじめにも発行数で運転免許証を超えますので、身分証明書として十分に認知されると共に、そこに付与されているデジタルでの個人認証機能の活用がますます期待される段階に突入します。このように社会がますますITへの依存を深めるにつれて、デジタルにおける犯罪や不正の増加が懸念され、実際ランサム攻撃をはじめとするサイバー事案の増加も目立っております。それに対応するため、警察庁において昨年発足したサイバー警察局に呼応する形で、今年から来年にかけていくつかの都道府県警察においても組織の組み直しが考えられているようで、いよいよサイバー捜査能力の強化も本格化してくることが期待されます。いずれの動きも、デジタル・フォレンジックの活用を加速することに繋がっており、関係者の皆様のますますのご活躍が期待されます。

そのデジタル・フォレンジックの発展に寄与するべく活動してきた本研究会も、今年の8月には20期目に突入します。昨年は、本会運営にあたっていた事務局では大きな動きがありました。まず株式会社フォーカスシステムズ様に間借りをお願いしていた事務局を独立させ、独自の事務所を構えました。これに加えて、事務局の人員を整理し体制の縮小と効率化を図りました。さらに19期の終わりには、設立以来本研究会の活動を支えてくださいました丸谷事務局長のご勇退が予定されており、新たに雇用する事務局員を中心とした体制を構築することになっております。このような新しい事務局体制の維持と、物価高に伴う各種経費の増加もあり、20期からは会員の皆様には19年間据え置いてきた会費の値上げをお願いすることを昨年の総会でご承認頂きました。会員の皆様には何卒ご理解とご協力をお願い致します。また、今期も事務局移転や体制再構築にかかった一時的費用に充当させて頂くため、2月24日までご寄付をお願いしております。こちらにもご協力のほどよろしくお願い致します。

寄付のお願い

https://digitalforensic.jp/19th-donation/

今年も引き続き、当研究会が社会に求められる役割を果たしていくためにも、財務体質の強化を引き続き図って参ります。今後、講習会をはじめとする有料イベントの開催、資格試験制度の普及と定着を図り、収入面の一層の安定化を目指して参ります。他方、事務局の事務効率化も引き続き進め、本会の運営を安定させることで、分科会をはじめとする各種の活動を活発化させ、ますます重要性が高まってきたデジタル・フォレンジックの普及に貢献して参ります。

20期を迎える本研究会の活動に、今年も引き続きのご協力とご支援のほど、よろしくお願い致します。

【著作権は、上原氏に属します】