第464号コラム:安冨 潔 会長
(京都産業大学 法務研究科客員教授・法教育総合センター長、 慶應義塾大学 名誉教授、弁護士)
題:「会長就任にあたって」

特定非営利活動法人デジタル・フォレンジック研究会も、第14期をむかえることができました。

2004年にデジタル・フォレンジック研究会が発足し、草創期に会長をお務めいただき、当研究会の基礎を築いていただいた初代会長の辻井 重男 理事・顧問(東京工業大学 名誉教授)のあと、2011年から本年まで、第二代会長として佐々木 良一 理事・顧問(東京電機大学 未来科学部 教授)が当研究会の発展に大きく寄与されたことはみなさまご承知のことと存じます。今般、佐々木前会長が退任されることとなり、創立時より副会長を務めさせていただきました私が、第14期総会において会長として選任され、当研究会会長としての重責を担わせていただくこととなりました。

デジタル・フォレンジック研究会発足当時には、まだデジタル・フォレンジックは社会において必ずしも十分に認知されているとはいえない状況で、コンピュータ・フォレンジックなどと呼ばれていたりもしました。しかし、その後、情報通信技術の進展にともなって、さまざまな分野でデジタル・フォレンジックが取り上げられるようになったのはご承知のとおりです。

デジタル・フォレンジック研究会も、発足当時は、会員数個人会員85名、団体会員25団体でしたが、今期には、個人会員279名、団体会員60団体を数えるまでに発展してまいりました。また、これまでの間、「デジタル・フォレンジック辞典」、「証拠保全ガイドライン」の刊行や「IDF講習会」そして恒例の「デジタル・フォレンジック・コミュニティ」をつつがなく実施することができました。そのほか「分科会」での多くの会員のみなさまの熱心で積極的な活動参加によりさまざまな成果を公表することもできました。

今後、情報システム及び情報ネットワークがいっそう進展し、情報社会のイノベーションが発展することで、さまざまなモノがネットワークでつながり、大量の情報が収集・蓄積・利用され、人工知能による情報処理が普及していくことが想定されます。こうした状況にあって、その成果が情報システム及び情報ネットワークにおいて社会的に実装されていくなかで、安全・安心なネットワーク社会の構築のためにデジタル・フォレンジックの重要性がこれまで以上に求められていくものと思われます。

そうした状況において、会長としてデジタル・フォレンジック研究会の社会的貢献に尽力したいと考えております。会員のみなさまのご支援をお願いし、会長としてのご挨拶とさせていただきます。

【著作権は、安冨氏に属します】