第289号コラム「ビッグデータ時代が民事裁判に与える影響〜訴訟上保護すべき秘密の解釈」
第289号コラム:町村 泰貴 理事(北海道大学大学院 法学研究科 教授)
題:「ビッグデータ時代が民事裁判に与える影響〜訴訟上保護すべき秘密の解釈」
1.テーマ
最高裁の平成25年4月19日決定は、民事裁判手続でビッグデータ時代の情報管理のあり方を考える格好の素材を提供してくれている。
この事件では、民事訴訟の一方当事者が行政庁に対して、全国消費実態調査の調査票データの提出を求めた。このデータは調査対象となった人々の家族構成、居住状況、家計の状況、資産の状況など、個人およびその家族の消費生活や経済状態等の委細にわたる極めて詳細かつ具体的な情報であって、金額等も多くはそのまま記載されている。極めて詳細なライフログを内容としている。このデータから氏名、電話番号、住所等の各事項を除外したものを提出させることができるかどうかが争われ、高等裁判所は提出を命じたが、最高裁は否定した。
この裁判例を素材に、民事訴訟における個人の詳細なプライベート情報の取扱いについて考えてみたい。
